雑草と作物の関係
自然栽培をすると、先ずの課題は雑草のことである。たぶん草を敵としないとか。叢生栽培とか、草と共生する農業というものを、希求する気持ちを持つことから始まる。私はそうだった。その理想から出発するのは、正しい方向である。ただ、正しいということを達成するまでには長い道のりがある。自然農業はなかなか難しい。雑草に負けてしまい、作物がなかなか作れないのが普通である。作物だけあって草一本ないというのは、環境として異常な状態であり、いい感じはしない。しかし、農業では一般に長ネギなら、長ネギだけある状態というのが、普通だし、良く管理されているということになる。工場内の管理栽培なら、その作物以外のものが存在することなど、拒否されている。しかし、自然栽培ではありとあらゆる草の中に、作物が生きているとすれば、素晴らしい栽培というような主張がされる。もう一度書くが私もそれを目標に自然農業を探求してきた。しかし、現在の状況では、草一本ない稲作が、一番いいと考えている。
理由はいろいろあるが、それが一番収量が上がるからである。粒張りの良い見事なお米が実るからである。雑草と共生する稲作をさんざんやった。しかし、それではだめだった。草の中に種を蒔いて、収穫のできる稲作というようなものも、何度か挑戦した。全く駄目だった。今年も直播の研究栽培はした。やはりだめだった。難しい理由はいくつもあるのだが、いくつもの障害があり、一筋縄では行かない感じである。一方に草のない状態はやはり良くない自然環境である。土壌は草が多く出て、枯れて、蓄積されて、腐食が増えてゆけば、良いものになる。だから、もしその場に草が足りないなら、外から落ち葉を入れるとか、草を入れるとかして腐食を増やす必要がある。もちろん自然栽培を目指す場合のことだ。そのために緑肥作物を栽培して土壌にすき込むというようなことも行うことになる。
それを作物を作物の栽培と同時に行いたいという気持ちである。今、大豆が生育している。みんなでやっている大豆の会の畑は、草を取りを行い全くない状態である。自分のところの畑では、草と一緒に大豆が出ている。気持ちとしては家のほうの大豆のほうが好きである。しかし、家のほうの大豆が上手く収穫まで行くかは別問題である。1、まず問題となるのは、肥料の取り合いである。草に肥料を取られてしまう可能性である。これには土壌の状態が関係する。土壌が良い状態になっていれば、意外に雑草の影響が少なくコントロール可能である。そんな良い土壌になるには、5年はかかる。良くなっても手を抜いていればすぐ状態が悪くなる。ともかくあらゆる方法で腐食を入れ続けるということになる。2、次は単独で居たいネギ類のような作物がある。込み入っているのは構わないので隣のネギとすぐそばでいいのだが、他の作物の根がそばにあるのを嫌う作物を見分けなければならない。
3、雑草との日照の取り合いが起こる。普通、雑草に負けるのはこれが一番の原因になる。雑草は作物より生育の早いものがいくらでもある。そこで、困る雑草を減らしてゆくということになる。居てもいい雑草と、いてもらっては困る雑草を調整する。居てもらっては困る雑草の種を落とさない。宿根であれば、根こそぎ退治する。土壌が良くなると大きな方向としては、困るような雑草は減ってゆく。困らない雑草を敵にしないということも効果がある。しかしこの3つの要因をコントロールしてゆくのは、雑草を取り切るより手間がかかる。特に良い土壌になるまでの過程は、苦難の道である。面倒な、頭を使う作業が続く。田んぼでは私は諦めて、草を取り切る道を選択した。