ホルムズ海峡は海外派兵の突破口だ。
石油が通るホルムズ海峡の封鎖は武力行使の新三要件のうち、第一要件の「日本の存立が脅かされ、国民の生死にかかわる明白な危険」に当たると安倍政権は主張している。オイルショック以降、石油というものは、十分な備蓄を行っているはずである。海峡が封鎖されて、石油がなくなるまでは、200日の猶予があるということになる。にもかかわらず、岸田外務大臣は封鎖された直後に、国際貢献として機雷除去を行うと述べている。これでは、日本の存立が脅かされた状況とは言えないのではないか。戦争になりそうな行為は、極力避け最後まで平和的な解決を図ることが、世界平和のためであろう。そのためにイランとの長期にわたる外交交渉が行われ、やっと一定の原爆開発の阻止が決まったのである。ホルムズ海峡の機雷除去に、自衛隊が出動する前に、アメリカの石油を日本に回してもらうことが、同盟国としての在り方であろう。
日本の存立が脅かされるという第一の要件は、むしろ日本が戦争に巻き込まれることから始まるのではないか。実力行使で機雷の除去に向かう前に、やるべきことはいくつもあるのは当たり前すぎることだ。そうした平和的努力を行うための日本の役割というものの、実力を向上させることが、日本国憲法によって求められている、日本政府の方向であろう。にもかかわらず安倍政権がホルムズ海峡への自衛隊の派兵を、事例の第一に出したのは、国民は自分の生活ばかり考えているのだから、石油が来なくなるということで脅かせば、それなら自衛隊を出すこともやむえないと考えるに違いないと、政府が国民を甘く踏んだところにある。岡本氏という元外交官は、参考人としての説明をした。日本の優位な青年が海外のテロで殺されたのは、自衛隊が武器を持って防御できなかったからだ。だから、日本の青年が海外で平和活動を行うために、自衛隊の武力が必要なのだと説明した。何という、国際情勢に理解のない、元外交官であろう。
海外で殺されている平和活動家は、アメリカ人が一番多いいのである。武力をもってテロ行為を制圧できるなどということはない。日本の自衛隊が出かけてゆくということは、必ず志ある日本の青年の死ぬ数が増えるはずだ。平和活動を行う青年が死ぬことが間違えなく増える。国の参考人として、こんな間違った発言をした岡本氏はその責任を今から覚悟しておく必要がある。安倍氏は、衆議院での法案の通過に際し、「国民の理解はいまだない。今後も理解を深める努力をする。」と語った。国民はだいたいのところは理解したうえで反対をしているのだ。国民を理解力のないバカ扱いするのもいい加減にしてほしい。少なくとも憲法学者の方々のほうが、安倍氏より頭もいいし、理解力もある。自分と違う意見の人を、いつまでも理解力のない人と決めつける人間のことを。理解力不足の総理大臣というのだ。
日本には日本らしい平和活動があるはずだ。武力的でない平和活動を模索する必要がある。武力で平和を維持しようということは、すでに世界各国が行い失敗している現実である。暴力の連鎖が起こり、いつまでたって戦争は絶えない。このままの方向では世界は破滅の道に進むだろう。日本が世界で唯一、理想主義の武力を用いない平和を目指す国としての憲法を持っている。この日本が理想主義を持っていたといことが、日本の経済成長の大きな要因でもあったのだ。そのことを生活者は知っている。世界が日本を受け入れてくれたのは、平和憲法を持って軍事力を放棄したからだ。そのことによって日本は経済復興ができ、世界第2の経済大国にまでなれたのだ。今後アメリカとの武力同盟国を強め、武力で汚い仕事もする普通の国になることが、日本らしい国際貢献とは到底言えない。日本の平和憲法は世界の希望なのだ。解釈変更で捨て去るには、人類のためにいかにももったいない。