アベノミクスでいいのか。

   

果樹の林 中判全紙 奥の方に果樹園を整備している。竹藪を切り開いている。少しづつ畑らしくなってきた。整備していると風景を作っているという気分になる。

安倍晋三首相は「雇用が100万人増えた」と自慢する。だが、パートや派遣など非正規社員が123万人増え、正規社員が22万人減っての100万人だ。職に就けなかった人が何かしらの仕事ができるようになったことは評価できるとはいえ、先行き不安な雇用形態。しかも年収200万円以下の人が30万人増える一方で、年収1000万円以上の人も14万人増え、貧富の差は広がっている。預貯金のない世帯は3割にのぼる。---毎日新聞

アベノミクスの審判が近付いている。何故か判らないが、日本人はアベノミクスを選択しそうである。自分が1000万円以上の3,9%枠に入れるという幻想があるのだろうか。アベノミクスを選択するという事は、格差を受け入れる、自分は下に来るという事を想像した方がいい。他に選択肢が無いと感ずるとしても、安倍氏はそうは受け取らない。自分の経済政策が認められたと考えて突く進むだろう。これは、地獄への道だと私は考えているが、多くの人がもうそれに掛けてみるしかないと決断するのであれば、民主主義国家である。経済の事は考えない事にする。日本人の経済感覚を残念だと思ってあきらめる事にする。25%の人が、200万円以下の暮らしである。これが、30%を越えることは間違いないだろうし。生活保護世帯の増加もさらに加速がつくだろう。格差社会
でもいいと本当に考えているのだろうか。

確かに多くの人が、博打が好きである。賭博場を日本でも作ろうという議員連盟があるくらいだ。アベノミクスは、もう博打の世界に入って居るのではないか。株価が吊り上げられているのは、操作としか思えない。選挙前に引き上げている。選挙が終わるまでは上げ続けるだろうが、アベノミクスを日本人が選挙で選択したとしても、必ず暴落する。何故、アベノミクスがしりすぼみになるかと言えば、2年間というチャンス期間に、具体的な新規産業の創出の手が打てなかったからだ。何と言っても第3の矢がない。規制を取り払って、新しい産業を興すはずだった。農業分野で言えば、全く何も進んでいない。エコノミストの農業特集ではイオンやローソンの農業参入を取り上げているが、稲作以外の農業の話である。農業分野で第3の矢を期待している人などいないだろう。2年間方向も定まらない物が、いまさら何が出来るというのだろう。農水大臣の西川氏は、アメリカにお米を売るから大丈夫だ。こんな法螺話を平気で述べる、TPP推進農水大臣である。

確かに、民主党政権というものはダメだった。原因は複雑多岐なのだろうが、オオールジャパン体制が作れなかった気がする。官僚を排除する事に目先が行き、必要な協力が得られない。日銀は足を引っ張り、財界は自民党の復帰を待っている体制。民主党の能力不足だけではなく、日本の既得権益グループが、顔をそむけ、自民党の復帰を待ったわけだ。鳩山氏の普天間移設は海外へはまっとうな主張だった。具体的な平和外交が見せられなかった事が問題だったのだ。どうせアメリカは日本から引き上げる時は来る。現在沖縄に居るのは、あくまでアメリカの都合だ。韓国も、フィリピンもアメリカ軍に帰れと主張し、必要だと考えれば、来てくれと言いだす。日本だけが、アメリカの都合で基地を沖縄に置き続けている。口だけの沖縄基地軽減である。基地が必要だと思うなら、日本全国で引き受けるべきだ。ソビエトが仮想敵国であった時代、なぜ北海道にアメリカ軍が居なかったのかを考えてみればわかる。沖縄を占領している意識がアメリカには続いている。アメリカの都合で沖縄に居るだけなのだ。

安倍政権は既得権益グループに、お礼の倍返しをしている。それゆえに、第3の矢は飛ばなかった。第3の矢は既得権を撤廃する話が基本となる。電力で言えば、独占の解体である。農業で言えば、農協や全農の権利を消滅させることだ。口ではやるような事を言いながら、実際は、何か進んだろうか。TPPの代償を約束している位である。アベノミクスがダメよダメダメでも、選択するしかないという気持ちの背景は、野党ではもっとひどくなりそうだからである。つまり、格差の無い沈没船と、地獄に飛んで行くバツ-カ砲との選択などできるわけがないという気持ちではないか。もしかしたら、バツ-カ砲が不発弾で何処かに軟着陸できるかもしれないという、博打に掛けようというのではないか。沈没船の方がまだましだと私は選択したい。沈没船が流れ着く先を考る、猶予がある。

 - Peace Cafe