TTP参加決定

   

日米共同声明にTPP「一方的に全ての関税撤廃をあらかじめ約束することを求められるものではない」との表現が盛り込まれた。これを契機に自民党政権がTPP参加を決めるのは、計画通りだろう。衆議院選挙前から、この筋書きに疑いを持たなかった。本音は参加するつもりでありながら、選挙前には不参加を表明していたことが、自民党らしい公約は破るものである、という昔を思い出した。物は云いようだというような、不思議な表現を多用するのが自民党だ。コメを例外品目にできるなら、それでいいではないかというような、これまたインチキを表明している。そもそもコメだけの問題ではない。TPPには日本という国のあり方の問題がある。美しい瑞穂の国の危機なのだ。独立国らしい日本を選べるのかである。自民党政権はアメリカの属国路線を戦後一貫して進めてきた。そのことが日本の経済成長を導いたことは認めるし、それがこれからの日本の経済の展望になると、アメリカにしがみついていることも、ある意味では理解はできる。

しかし、世界は変化してきている。アメリカとの連携に深入りしすぎることは、アジアでの日本のこれからの展望はさらに難しくなる。EUの距離感を学ぶべきだ。中国や韓国やロシアとは隣国である。仲良くしなければならない。民主党を離れた鳩山氏は、アジア外交の研究をこれからやるらしい。どうもこの人は考えはいいのだが、行動がおかしい。世論はどうも阿倍政権一辺倒化してきた。実に困った状況だ。円安、株価上昇は、なにも根拠がない。実態のまったくないことだ。必ず反動が来る。じゃぶじゃぶの公共投資と震災復興経済でしばらくは経済上昇局面はある。しかし、その後大きな落ち込みが来るに違いない。日本の財政の悪化はさらに深刻度を増している。このしばらくの経済上昇局面を誤解なく、的確にとらえる必要がある。株価や為替の変動など阿倍政権とは関係がなない。そんなもの安心していれば、世界の投資ファンドの禿鷹に翻弄されるだけである。

政府は日本が環太平洋経済連携協定(TPP)に参加した場合、輸出の増加を通じて国内総生産(GDP)を3兆円超、押し上げるとの新たな試算をまとめる。安価な農産品の流入で農林水産業の生産額は最大3.4兆円落ち込むが、他の産業の伸びがそれを補う。政府の統一試算として、近く公表する。農林水産省はTPP参加に伴う関税の撤廃で、約10兆円ある農林水産業の生産額は3,4兆円も減るとみられている。近く政府が公表する新たな試算で減少幅はやや縮小するとみられるが、それでも3兆円規模に上る。この試算の結果だけでも、TTPが農業に与える影響の大きさが分かる。30%生産額が落ちるのは、価格が下がるということだとすれば、誰も農業を継続できないということになる。農業者の中には、案外にそういう実態を理解せず、世界の農産物と本気で競争しようという人もいる。テレビなどはそういう人を探ては、努力の足りない農業者像を作ろうと躍起になっている。こうして、日本の農業が消えてゆく結果になる。

貿易の自由化を先行した韓国の実情を研究すべきだ。確かに世界企業の2社は世界の競争に勝利している。その主因は自由化だけではない。あらゆる物を犠牲にしながら、国力を集中をさせて競争に勝つことを目指している。その結果農業、とくに畜産は苦境に立っている。アメリカとの貿易では稲作は例外品目になっている。問題は畜産である。かなりの補助金を入れている。日本の農業でも、極端な2分化が進む。大規模、企業的農業と条件不利地域の自給農業。中間型は消えてゆくだろう。企業的農業に補助金が膨大に注ぎ込まれる。輸入農産物ではなく、国内の企業農業によって、普通の農家は競争力を失う。条件不利地域では、さらに耕作放棄地が拡大し、地域というものの成立がさらに危うくなる。期待したいのは、条件不利地域の農地の農地法をまったく変えてもらいたい。できれば国が所有することである。そして、利用するものに無料で貸し出すような制度である。この点は改めて考えてみる。

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