10月の画廊巡り

   

絵を見るのは豊かな気持ちになれる。9日銀座の画廊を見て回った。お金はいらない所がありがたい。偶然に久し振りの友人に会えたりもする。「水彩人同人展」を行っている。ここにたどり着くように、歩くことにした。すると、始まりは国立新美術館。開催中の自由美術に日本水彩の富高さんが出されている。この方の絵は是非見せて戴きたいと思って出かけた。ここは9時からやっているので、画廊巡りのスタートにはいい。家を早く出て、9時から見ればゆっくりと見れる。東京都美術館のときよりは、作品が見やすくなった。しかし、個々の作品を見るというのは、公募展の展示では難しいという、状況は変わらない。全体の持っている空気のようなものがあって、どうしてもそれに影響される。絵の方がさあーどうだと言う感じで、張り合いすぎて、一点を味あうという具合にはいかない。

自由美術調とでも言うのであろうか。言って見れば瞑想的、よく言えば哲学的ムード。暗く重く、不気味で、得体が知れない空気。油絵の具というより、泥絵の具で描いたような色調。私の考えている絵画とは、かけ離れた世界。絵を見るとき、当然その良さを味わいたい気持ちが強い。何かいいものを感じたい。そう思ってみるのだが、残念ながら、悪いものを見たくない物を暴き出すと言う絵もある。水彩人に招待で出してもらったミズさんのように、楽しみにしている人もいるのだが、ここでは感激がなかった。水彩人の同人だった、平田氏はちょっと悲惨。富高さんの作品はさすがにいい。常に新作が、今迄で一番いい状態。豊潤な世界に上り詰めようとしている。色彩の好きな美濃部さんの作品、今回黒い細い線が色彩を、制限しているようで苦しい。彫刻会場に入ると、最初に久村氏の作品があった。ユーモラスで、祈りがある。会場の空間の使い方が、まだ彫刻室として馴染んでいない。野外彫刻の会場を始めてみた。入り口がわかりにくい。しかし、野外の空間はさすがに美しい。吉田さんのインド砂岩の大きな作品が正面にあった。

銀座に出るにも地下鉄ですぐ。便利だ。高松ですき焼きで昼食。まず、K‘s画廊で、黒田真由美さんを見る。水彩連盟の仲間。いわゆる抽象画。バイタリティーがすごい。そういったら、丈夫ではない。などといわれていたが、もちろん絵の事だ。幾らでも描いてやるぞ、というような負けない精神がある。次にギャラリーゴトウの古田さん。魅力的な作品だ。目が引きつけられてしまう。古田さんの良い作品は理屈も分析もない、ただ味あわせてもらう。絵を見る醍醐味。すばらしいクロッキーが並んでいた。ビックリした。農の会にも参加をする住谷さんが、Oギャラリーで個展。白系の色調が美しい、やはり抽象。ただ美しいなどと言わせないというように、ちょっと難解な所もあるマチュエール。影の中に宿る光の世界。ミズさんが詩集の発行記念展をしらみずで開催。独特のたぶん旧作の水彩画が多数あった。詩をそのまま絵に描いていた作品。こう言う少女趣味的(悪い意味ではなく)なことが、自然に出来るのがミズさんのすごいところ。テレがない。ARTONEで佐野ぬいさんの新作展。これほどに自由に色彩の世界が展開できるのは、才能としかいえない。味わわせて貰うだけで心が浄化される。

そして、ずーと楽しみにしていた。進藤妙子さんの個展。瞬生画廊。この画廊での個展も継続して長い。絵を見る幸せを実感。絵を見てきてよかった。進藤さんの絵を堪能できることのありがたさ。自由で、新鮮で、始めて目に映るような世界。作品にしてもらって気付く世界。一期一会。進藤さんの絵に出合うと、絵のすばらしさを再認識させられる。いい絵を沢山見せてもらい、ある意味恍惚気分で、水彩人展開催中の一枚の絵に到着。自分の絵を見て、ちょっと逆ショック。もっと好きなことをやんなきゃ。これからやることが山ほどある。そのことは幸せかもしれないが、あまりにもお粗末。今日見せていただけた、好きな絵も嫌いな絵にも、感謝。

機能の自給作業:稲刈りと準備:4時間 累計時間8時間

 - 水彩画