安倍総理の「のるかそるか」

   

安倍総理はシドニーで、インド洋の給油は国際的な公約である。この約束を日本は破ることは出来ない。もし、秋の国会でテロ対策特別措置法の延長が出来ないなら、総辞職、解散をして総選挙を行う。このように取れる発言をした。まさにのるかそるかである。何か、大本営発「転進」を聞いているようだった。安倍総理は自分の後ろ盾であった。自民党内でも保守的傾向の、「憲法改定し、日本は軍備化をする必要がある」と、考える人達の意見に従ったのだと思う。もちろん殆どの自民党議員が右に倣えなのだが。日本を軍隊のある普通の国に出来ないなら、安倍政権の意味はないと考えていると思わなくてはならない。

テロ対策特別措置法は、9,11のテロの結果できた法律だ。2年間の時限立法が、延長延長で、ここまで来た。恒久法にするには、憲法違反の疑いがあるので、暫定的な法で緊急対処と言うはずだった。そもそも、9,11のテロで、パニックに陥ったアメリカが、無理やりアルカイダを取り締まるのだといって、日本にも同盟国なら協力しろ。と押し付けてきたやり方だ。日本の外交は、全てがアメリカの言いなりだから、理由や、根拠をおざなりにして、自衛隊が海外で、軍事行為を行うという、相当に憲法の拡大解釈になるだろう、法律を作ってしまった。日本は平和的な手段で国際紛争を解決する。こう宣言しているにもかかわらず、おかしな事だ。つまりこう言う事が、「憲法改定をしろ」につながっている。時限立法でなく、テロ対策特別措置法を恒久法にできるようになる。

そもそもアフガンに隠れているとされる、ビルラディンを捕まえようと言う、軍事行動だったはずだ。所が現在のテロ対策特別措置法の役割はどうかと言えば、大きく言えば、イスラム圏に対する抑止行為だろう。あるいは、経済的に見れば、日本への石油ルートの確保だろう。イラク戦争に実はこの給油が使われている、のではないかと言う疑惑がある。軍事行為の機密で、事実は掴めないが、大枠から言えば、使っていると考えた方が、事実に近いだろう。そもそも、テロ対策で始まったはずのものが、今やアメリカの中東軍事作戦の、枠に組み込まれたのだ。

所が、最も信頼できるはずの、同盟国アメリカのブッシュ大統領の日本に対する発言、行動はおかしくないだろうか。方針の変更を感じないか。戦前日本への偏見発言など、日本政府が抗議もしないのは、情けない限りだ。北朝鮮との2国間交渉は、ルール違反のはずだ。交渉の当事国が、交渉の枠組みを壊し、2国間のみの利益で話し合えば、6者会談の枠組み自体が、無意味化する。すでに拉致の問題など、置いて行かれている。温暖化問題に於いて、アメリカがAPPのワク組みに当初「京都議定書」を重視する日本を排除する方針だったことが8日、機密指定を解除された米公文書で分かった。ホワイトハウスの環境評議会は「日本が(温室効果ガス)削減目標や京都議定書のような『反成長』型の条項を設ける」事態を懸念し、APPからの日本排除を決定した。国連の常任理事国入り問題でも、アメリカは日本が常任理事国になることを、望んではいなかった。

日本がアメリカを信頼に足る同盟国と考えても、片思いなのだ。アメリカは自国の国益に利用できる所では、利用しようと言うだけだ。国益が一致している間はまだいい。この先、中国、インドの経済成長のあと、日本はどのような立場に置かれるのか。充分考えなくてはならない。安倍総理が、国際的公約と発言したのは、明らかに誤解だ。アメリカとの2国間の約束ではあるが、国連の承認に基づいていない時限的約束だ。そもそも、対象のアフガニスタンでも、イラクでも、イランでも、成果を揚げるどころか。泥沼化の一途だ。こんな馬鹿げた、アメリカにいつまでも利用されている国など、世界のどこからも信頼される国には成りやしない。無料のガソリンスタンドと、影では言われているそうだ。

 - Peace Cafe