ふるさとに帰ってはいけないのか。
都会に出た人がふるさとに戻ってはいけないという風潮が私には受け入れがたいものを感じる。コロナに感染しているかもしれないから、帰省しないでくれという。これにはどうも違和感がある。ふるさとの実家に戻った若者が、居辛くなって東京に戻るということが報道されている。
石垣島でも観光客だけでなく、都会の学校に行っている息子が戻ることがなんとなく拒否されている。市長の談話では明確に帰省しないでくださいとあった。一体そんな言葉を発するふるさととは何だろうか。ふるさとはそんなに冷たいところなのだろうか。
さらに石垣市中山市長は八重山諸島からの石垣島への来島も来ないようにお願いしたいと発言している。全く科学的な根拠がない。西表や竹富の人はごく普通に石垣に買い物に来て生活している。高校生など通っている人も居る。八重山の他の島に感染者がいるわけではないのに、石垣島に来るなとはないだろう。何か異常を感じる。
感染症の全く出ていない島から、お隣の石垣島に買い物に来ることまで拒否するという市長の発言は石垣市民の声を代表しているとは思えない。是非とも撤回して貰いたい。感染は科学的に考えなければならない。3密にならなければ感染は起きない。
ふるさとに戻るなと言われた人はどれほど寂しい思いをしていることであろうか。都会で外出さえ出来ない下宿先でどれほど辛い思いをしていることであろうか。こんな非人情な世界が来るとは、あまりにも情けない。そんな身勝手なふるさとでいいとは私には思えない。
ふるさとに戻ることは許されることだ。戻っていいと考える。戻って感染が広がったらどうするんだという声があることは分かる。しかし、困っている自分の息子や娘を戻れと言えない社会はおかしいと思う。もどり、2週間待機していればいいではないか。むしろ困った家族を温かく迎えるのがふるさとではないか。ふるさとという所をそういう暖かい場所と思いたい。
戻っても感染を広げない道はある。それを作るのがふるさとで暮らす人の役目ではないだろうか。それが市長の役目だ。観光客の来なくなったホテルで2週間暮らして貰う。それから家に戻る。その費用はふるさとのみんなで負担する。そうした努力をしないで、ただ帰省するなの言葉はなんとも聞きづらい。
自分が感染が怖いからと言って、都会で困っているものを排除するようなことは違うのではないだろうか。ともに乗り切るという気持ちがふるさとには必要な気がする。最終的には全員が感染しなければ終わらない感染症なのだ。排除的な考え方はわずかでもあってはならない。
今回戻ることが出来なかった人達は、戻るなと言われた人達は、もう冷たい石垣島に戻らないかもしれない。ふるさとの人達が、感染を恐れて自分を排除したと言うことは忘れられないことではないのではないだろうか。ふるさとに戻ってはいけないなどと主張する人は移住者にも多いような気がする。
親が子供には言わない言葉だ。私にもそういう言葉が耳に入り、まるで自分が排除されたような気持ちになった。東京で下宿にこもっていなければならないと言うことは精神的にも厳しいものがある。戻ってこーいよ。
21日中山石垣市長は島外在周の出身者にも「ウイルスを持ち込む可能性があるため、絶対に帰省しないようにお願いしたい。」と述べた。これは2度目のことだ。市民に対して、潮干狩りも含む外出の自粛を要望。バンナ公園の施設の閉鎖。ほぼすべての観光施設の閉鎖を行うと言うことである。
これは間違っている。何故潮干狩りが行けないのだ。名蔵湾で潮干狩りをしている人が居たが、まばらなものである。10メートル以内に人は居ない。何故それが行けないのか、神経を疑う。日光に当たり、明るい気持ちで身体を動かす。これは外出を控える人達に必要なことだ。運動をしないで、室内に居ればたちまち身体は衰える。
年寄は2週間家の中で動かなければ歩けなくなると言われている。感染症を恐れる余り、寝たきり老人になれとでも言うことになる。バンナ公園を散歩するのは悪いことではない。毎日公園の脇を車で通るが、ここが密集になるほど人が居たことなど、過去例がない。
市長は余りにおびえて大切なことを見失っていると言わざるえない。ふるさとに帰るれるように仕組みを作るのが市長の役目である。何ら努力をしないで、来島の拒否だけでは、ふるさとの心を失うだけである。
お茶には一期一会という言葉がある。お茶会の席ではあらゆる人を同じに扱うと言うことである。たとえ前の人が、感染症の人であってもお茶を回して行くと言うことだろう。今実際のお茶会は開かれていないと言うことかもしれないが、感染症で互いを排除する社会になって良いわけがない。
お茶会において、前の人がライ病であったので、耳がお茶に落ちてしまったのだそうだ。すると次の客はそのお茶を普通に飲んだという。これが一期一会だと、東北福祉大学の学長であった萩野先生から教えていただいたことだ。
確かにコロナ感染を広げようなことはやってはいけないことである。できる限り避けなければならない。都会に止まって感染を広げるのであれば許されるのか。石垣島が医療機関が不十分である。年寄も多い。それならばどうしたらいいか考えることが必要だと思う。
都会から実家に戻ることを排除する社会は変えた方がいい。納得がいかないところがある。2週間暮らせるホテルをふるさとが用意したらどうだろうか。もしそういうことが出来れば、ふるさと石垣島が世界から見直されるだろう。
東京には帰国者が2週間滞在できるホテルが存在する。石垣にもふるさとに戻る人を受け入れるホテルを準備することは不可能ではない。そうした暖かいホテルなら、これからお客さんが来るときには利用させて貰う人が増えるはずだ。
ホテルも空いているはずだ。感染しているわけではない。用心のために2週間待機する場所だ。温かく迎えることは将来の石垣島に必ず役に立つ。感染者のためには沖縄県がアパホテルの協力で場所を準備してくれたという。まだ一人もそこには居ないのだから、そこに入れて貰うのもあるのではないか。
それは出来ないかもしれないが、他のホテルでもふるさとに帰ろうキャンペーンなら協力してくれるところがあるかもしれない。もしそうした活動が始まるなら、私が政府からいただく、10万円はそれに回したい。収入が減少しないのに、10万円いただくという必要はない。他にもそういう人が居るかもしれない。そういう人が10人居れば、10人がふるさとに帰れる。
感染が起きているのに、来た観光客が悪いというようなことが言われる。しかし、観光客から、感染が起こることは想定できたわけだ。そこで観光客と接触していた人がどう注意していたのか、どのような行動を行ったのかと言う問題もある。感染は必ず起こリ得るものだ。それに対してどう対応するかを考えるしかない。
観光で地域経済を活性化させて行く石垣島の経済の姿勢を考えれば、観光客が来ることは喜ぶべきことだ。受け入れながらどう対応するかを考える方向に変えなければ、島の経済が成り立たなくなる。その道はあると思う。その道をどこかで開かなければ、この先何年でも自粛生活と言うことになる。
ふるさとに帰れる体制を作ろうじゃないか。そういう温かい石垣島の方がいい。