豚コレラの感染拡大について、岡田衆議院議員の発言
衆議院議員岡田克也氏の主張。
豚ワクチンの接種を求める声が高まっています。私も賛成です。しかし、全国でワクチン使用すると、豚肉の輸出が困難になり、輸出を行っている養豚農家にとっては打撃になることから、反対の声があります。調整には時間が必要なことから、地域限定のワクチン使用が現実的ではないかと思います。
岡田氏の地元三重で豚コレラが広がっている。緊急対策として、ワクチンを地域限定で接種すべきだという主張である。一見正しいかのようにこの意見は聞こえるだろう。ひとつの意見であるのは確かだが、大変問題のある考え方だと思う。
大きく見れば筋違いの意見なのだ。原因は家畜衛生学が感染症に関して研究が不十分なのだ。家畜に野生動物由来の感染症が広がったときにどう対応するかが、全く研究不足なのだ。特に島国である日本では、独自の対応策の研究が不可欠である。
まず野生動物の実態調査がほとんどない。イノシシの生活圏がどうなっているのか。イノシシの中での感染拡大の状況の把握。どうして福井へ広がったのか。感染経路の調査。状況把握がないまま、ワクチンをどういう範囲ですると考えているのか。
また清浄国の判断は地域単位ではない。日本のどこでワクチンを使用しようとも日本全体が清浄国ではない。しかし、野生のイノシシに豚コレラが広がっている状態で、清浄国であるという主張もどうかと思う。
日本の獣医学の不十分なひとつの事例が、誰でも知っている犬の狂犬病のワクチン注射の義務化である。犬を飼っている人は、強制的に注射が義務化されている。果たして狂犬病予防注射にはどんな意味があるのだろうか。
狂犬病は日本で発生したのは1957年のネコが最後。1950年に犬へのワクチンが法律によって強制された。その後60年間無駄にワクチンが注射されたことになる。10年くらいはまだいいだろうが、60年発生がないのに何故、犬だけが被害に遭うのだ。
犬だけが注射されることになったが、何故ネコはされないで済んだのか。科学的な根拠がないまま、犬に注射さえしておけば気が済んだというか、役所の義務は果たしていたという言い訳になった。
その上に、一度接種の流れができると、これが動物病院の経営に組み込まれた。既得権益を守るために、動物病院団体は狂犬病接種の有効性を今でもアピールし続けている。
一度清浄国になった台湾で野生動物の感染が見つかった。それを根拠に、日本でも危険はあるのだから、犬の予防接種は継続しろと主張する。
台湾で感染したのは野生動物である。日本でもその可能性はある。そうであるならば、犬にワクチンをする前に、野生動物の調査をしなければならないだろう。これがなおざりにされている。
鳥インフルエンザの場合もそうであったが、渡り鳥の調査がまるで不十分であった。朝鮮半島から、どういう鳥がどう渡るのか。そしてその鳥の生態はどのようなものか。これが曖昧なものである。
狂犬病は哺乳動物であれば、いろいろに感染する。日本ではネコの感染が最後のものとして確認されている。犬が特に危険なので、特に予防されたのは、当時放し飼いの犬が多く、手段で徘徊し、人をかみ殺すような事例もあったからだ。本当に心配な人ならば、自分がワクチンを打てばいい。
日本では狂犬病ワクチンは無意味だ。しかし既得権もあるだろうから、まず毎年から3年に一回にレベルを下げる。そうした国の事例もある。そして、次段階で完全に止める。費用対効果と、動物愛護だ。
予防注射の労力を、海外から日本に入る動物の検疫を徹底すること。そうすれば日本に狂犬病が入ることはまずない。豚コレラの発生原因は肉の持ち込みと言われている。検疫が不十分であれば、ワクチンどころの問題ではない。
そして、野生動物の調査に全力で取り組むことだ。例えば、害獣駆除で殺されたイノシシすべての血液検査を行う。そして、日本のイノシシの野生群の実態調査をする。豚と交雑しているのではと言う疑問も回答が出るはずだ。日本での適正数を把握する。イノシシを本気で駆除する必要も分かってくるだろう。
家畜衛生学の基礎的研究が必要だ。ワクチンをしてもワクチンは絶対ではない。効果のない動物も居るし、違う型の病原菌も登場する。
地域限定のワクチンとしても、豚肉の輸出はできなくなるだろう。行うなら、日本全体でワクチンをすべきことだ。もう豚肉輸出どころでない状況だ。すでに日本は豚コレラの清浄国ではない。ワクチン清浄国であるとしても、これほど発症していて、清浄国と言い張ることのほうがおかしいだろう。