水田の放射能対策
昨日、Tウオッチから井上氏が見えて、田んぼの放射能の勉強を行った。水田の対策の方向が見えた。玄米で1キロ当たり20ベクレルの田んぼが、3ベクレルまで、つまり放射能を7分の1に削減できる事が見えてきた。田んぼの入口に溜池を作り沈殿させてから、田んぼにうわ水を入れる方式である。来年はTウオッチとこの方法の共同実験を行うが決まった。玄米を放射能で汚染しているのは、空気でも土壌でもなく、ほぼ「水が大きな要因」であった。その水の汚染も、測定器で測定できるようなレベルではない、極めて薄いものである。これは福島での500ベクレルを越えるお米の田んぼを地形的に観察すれば見えて来ることである。共通に谷戸田である。背後の山に大量の放射能が降り注ぎ、現在も落ち葉や腐葉土や土壌や樹木や、草木に吸着され存在する。それが様々な形を経て水に紛れこみ流れて来る。それを稲は養分として吸い上げてしまい、玄米を汚染する。米は土ではなく水で作るという昔からの言い伝え通りである。
農水省の予測した、土壌汚染から移行計数は、大きな目安にはなったが全体の放射能を削減するためには意味がなかった。水への注意を喚起しなかった責任は大きい。農水省は稲藁からの牛肉汚染に次いで、2度目の失態である。こうして農水省が失敗を繰り返す原因は、放射能に正面から向き合おうとしないからである。放射能については、科学的に向き合う以外ない。一方、消費者も0が望ましいことは分かるが、日本の農業を守るということは、自分達の暮らしを守ると言う事だと理解する必要がある。自分だけがシェルターに逃げ込むべきではない。ある程度の許容範囲を妥協すべきだ。そして、地域の消費者と生産者が、本音で話し合うところから始める必要がある。消費者は0,1ベクレルでも危険だとするような拒絶的な前提を持たないこと。生産者はできる限りの努力をする。その上で、どの範囲なら妥協が可能かの両者の話し合いが必要だろう。それは地域基準であり、統一基準ではない。
厚生省の放射能の基準から暫定がなくなり。おおむね食品はセシューム100ベクレル。乳幼児は50ベクレルと言うことのようだ。何故か私の以前からの主張と同じである。井上氏によると有機農業ではその10分の1になる10ベクレルと言うものが、小川町のグループでは提案しているそうだ。これも一つの見識であろう。現在、だいたいの地域で野菜においては10ベクレルを越えることは無い。キノコや芋類は別。強調したいことは稲作においては、来年の方が汚染が高まる可能性が出てきた。それは山から流れ出る水が原因だからだ。広大な山を汚染した結果、それが次第に海に流れ出ることになる。上手く対策をして耕作しないとお米の汚染は来年深刻なことになる。降り注いだ直接の土壌汚染については来年は減少している。しかし、水の汚染はむしろ深刻になる可能性もある。福島の河川の河口付近の空間線量が高くなってきていることは、川や地下水を通して下流域に流れ落ちている事を表している。
今年の段階での玄米では、久野川では上流部の田んぼのお米の方が、汚染濃度が高い。お茶では3000ベクレルを越えた、坊所川の水系は比較すれば低い。集める水の流域の大きさの違いであろう。また、酒匂川の流域の玄米はかなり低い。また、曽我山からの水を使う田んぼも汚染はほぼない。しかし、曽我山の腐葉土もそれなりの汚染であることは確認しているので、今後も全く問題がないと言えるかはまだ不明。もう一つ分かったことは、玄米と白米とを比べると、5分の1に成っている事だ。米ぬかと玄米を比べると、8倍と言うデーターもあるから、当然である。当面、健康を考えたら白米と言うことになる。稲藁やもみ殻は、玄米の10倍と言うことらしいが、これを田んぼに戻すべきかどうかは、まだ不明要素が多数あり、結論は出せない。腐植質がセシュームをつかむという考えもあるがどうだろうか。
*測定値については、ブログで公表すると思わぬ悪意と思える使い方をされるので、公表していません。ただし、農の会ではデーターをすべて公表しています。必要な方は個別に問い合わせていただけば、お教えします。