ヒルトン売却市民説明会:中止

   

小田原市がヒルトンへの土地売却市民説明会の開催を決めた。本来なら、最初から行うべき事であったが、遅ればせながらもやると言うのだから、まずは良かった。説明して欲しいことは、根府川・片浦地区をどのような地域ととらえ、今後どんな方針で進むつもりなのかを聞きたい。本来なら、このようなことは市民に参加を求め、こんな事態に至る前にやらなければならなかった事だ。小田原市の基本計画を見ても、片浦、根府川地区の将来像については全く不明確である。抽象的な理想論だけが書かれていて、行政の方針のようなものを読み解くことはできない。市民協働と言うことで、市民が作り上げて行くと言うことらしいが、それなら、地域においてそうした仕組みの構築の為に動き出しているかと言えば、全くそうしたことは同じ農業地域の久野では、市民レベルではない。片浦の地区別の計画を見ても、ヒルトンに関することは全く触れられてもいない。又、農業の展望についても触れられていない。唯一、意見としてあるのは、市街化調整区域をはずして、家が建てられるようになればの希望である。

第1の質問 片浦地区の人口の減少し老齢化が進む現状の中、行政は何故今まで、地域の将来の展望を、ヒルトンの処置を含め、市民協働で作り上げる努力をしてこなかったのか。もし努力をしてきているなら聞かせてもらいたい。
第2の質問 ヒルトンホテルに小田原市の土地を売却した場合、現況でも地域との連携が見えない施設が、さらに遊離している施設になる。転売がされれば、小田原市にとってマイナスになる施設になりかねない。どのように小田原市の考える地域計画と、整合性を取るのか。
第3の質問 小田原市としての都市計画の中で、農業地域である片浦地区の、農業としての展望を持っているのか。ヒルトンホテル施設を核にした、あたらしい農業の展望は持つべきなのではないか。

日本の農業は新しい局面に直面している。政府もTPPに備えて、農業の新展開を考えている。今まで農業での展望を持ちにくいと考えられてきた、片浦地域でもその地域の特性を生かした、新しい農業の展開は可能なはずである。その為には、あのすばらしい環境を生かした農業のプラン作りである。行政としてその核になる、モデル園の構想を政府に対しての展開する。小田原に存在する、優秀な農家の方々の英知を集め、プラン作りをするべきである。これは小田原だけでなく、日本全体にとって意味があることになる。その時初めて、公金の無駄使で出来た施設が、生かされることになる。そうした方向を考えた時には、ヒルトンからむしろ返してもらい、農業を核にした、新しいアイデアが生まれるはずである。日本の企業にもそうした構想を持つ所は、生まれてきている。

と言うような事を説明会で問いただそうと考えていた矢先に、突然説明会の中止の連絡があった。本当の理由は分からないが、ヒルトン側からの取引の停止の要請に基づくらしい。ヒルトンの対応によって市民説明会が中止されるということは、この説明会が、いかにも転売を前提とした、通過儀礼であったことを意味している。うるさいから一応はガス抜きをしておこう。こういう説明会における意識が見えてくる。市長の主張する市民協働のまちづくりはどこに行ったのだろう。ヒルトンの態度がどうであれ、この間のいきさつを説明し、今後の片浦地区に対する対応を説明する。これが、市民が求めている説明会である。小田原市の考えを聞かせてもらうということは、ヒルトンとは関係が無く出来るはずである。一方、ヒルトンが何故、中断を求めてきたかが重要であろう。推測しても始まらないことではあるが、信頼に足る取引相手でないことだけはわかる。

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