何でも薪に!
現代農業の12月号は、燃料自給「何でも薪に!」となっている。現代農業らしからぬ、タイムリーな企画である。この冬も電力不足が宣伝されている。本当かどうかは分からないが、ともかく暖房に電気を使うなど、田舎暮らしの人間には許されないことである。小田原の状況なら、いくらでも暖房の薪程度は手に入る。と言ってもさてどこからと言うことが実際の問題になる。二宮金次郎は、薪を取りに箱根の東山麓にまで、栢山から矢住芝の上の方まで歩いて行ったらしい。1時間30分くらいだろうか。金次郎はその体験を生かして、薪山を買い付ける講を作り入札で買い取り、利益を上げたらしい。この時代、山には木が捨てられているが、薪にするからと言って勝手に持って来る訳にもいかない。入会権とか、学校林とか、村山とか、山を生かした仕組みは実際は機能していないのではないだろうか。
薪ストーブもピンからキリまでで、良いストーブは良い鋳物で出来ている。中の構造も実に工夫されている。それだけのことはあるが高い。特に煙突が高くてなかなか手が出ないほどの価格になる。そこで、自家製で蒔きストーブが作れないかと言うことになる。色々やっては見たが、余り成功したことはなかった。今回ロケットストーブに出会って、なるほどと言う構造を理解できた。工夫はこれからだが、アイデアはある。今回の現代農業では、当然のごとく、ロケットストーブも出ている。ロケットストーブの実証実験をやってみて、いくつかの特徴があることに気付いた。炊事用のコンロに向いているということ。ペール缶を使ったタイプで、練炭コンロぐらいの能力である。排熱で床暖房を行うにはいいことが出来る。欠点と言うかこれも特徴なのだろうが、短時間に一気に高温でという目的には向かない。ゆっくり長く温めると言うにはとてもいい。ヒートライザーと言われる、高温燃焼部分の構造によるのではないか。
もちろん家庭用ガスコンロ程度の熱量なら問題はない。中華料理のような火炎放射機のような火にはならない。室内で使うためには、焚口の工夫が居る。中に火を引きこむ力がうまく機能無くなった途端に、煙が逆流することになる。昔の農家の台所なら問題ないが、今の密閉の良い家では問題があるだろう。いずれも炊き方の工夫であり、慣れれば、つまり技術があるなら、クリアーできる問題であり、昔のお竈が、薪を節約するには、なかなか技術が行ったのと同じ、ちょっとした心使いが必要になる。そう言えば私は火遊びが好きなので、おねしょをするといつも言われていた。おねしょは治ったが、火遊びは今でも好きである。たき火は文化で、これを禁止するのは文化の弾圧であると考えている。それはいいのだが、私は暖房を使わない。寒ければそれだけ着込む。今も、寒いので懐に猫が居る。るるである。充分に暖かい。さっきからうずらが来て、わりこもうと邪魔をしている。
現在考えているのは、プロパンガスボンベを使ったロケットストーブである。肉厚で良さそうな素材である。長い廃材が入るストーブは作られている。半分位のサイズにして、ペール缶燃焼部を覆う蓄熱部分にする。加えて燃焼部分の拡大にも使う。「何でも薪」に出来るのは確かだが、入手法である。例えば、山で間伐材は捨てられている。これを自分で持ってゆくなら、無料であるという仕組みは出来ないのだろうか。山が片付くだけでもいいと思うのだが。まだ植林をした記憶のある方が、生きている内は良い。あと10年もすれば、植林した世代が居なくなり、山への愛着がどんどん薄れるだろう。薪や落ち葉が集められるような里地里山。そう考えて、やはりしばらくは放射能で駄目だと思う。諦める訳にはゆかないが、がっかりである。