原発とTPP加盟は同根
原発推進を主張する人は、TPPの加盟も主張する。その根本は経済至上主義である。原発が破壊したのは、安全な暮らしである。TPPが壊すのは、日本の文化である。見方を変えれば、そこまでやらなければ日本人の肥大した暮らしを維持できない、と考えてのことだろう。5年間で稲作農家の平均耕地面積を10倍にするという。できないに決まっている。できなくてもだれも責任は取らないのだから、どうせTPPに加盟するために、一応あり得ない農業政策を示したに過ぎない。机上の計算としても、農地が10倍になったら、お米に国際競争力が出来るとでもいうのだろうか。競争が激化するということは、収奪的農業が勝利するということになる。農業は永続的な、循環するものでなければならない。
交付金の増額など戸別所得補償制度の改革を検討。今後5年間で平地にある農地の面積を現在の10倍以上となる1戸(経営体)当たり20~30ヘクタールに拡大し、生産性向上を図る。青年層の新規就農支援も拡充する。これが「食と農林漁業の再生実現会議」議長の野田氏の発言である。以下が構成メンバー
大泉 一貫 宮城大学 副学長
加藤登紀子 国際連合環境計画(UNEP) 親善大使
川勝 平太 静岡県知事
小林 栄三 伊藤忠商事株式会社 代表取締役会長
相良 律子 栃木県女性農業士会 会長
生源寺 眞一 東京大学大学院農学生命科学研究科 教授
深川 由起子 早稲田大学政治経済学術院 教授
佛田 利弘 ㈱ぶった農産 代表取締役社長
三村 明夫 新日本製鐵株式会社 代表取締役会長
村田 紀敏 セブン&アイ・ホールディングス代表取締役社長
茂木 守 全国農業協同組合中央会 会長
日本の未来を決める会議であるとの自覚を持って、責任を持って議論してもらいたい。肩書きを見れば、それぞれ立派な方のようだ。この会議で農水省の出した展望では、規模拡大の努力はしているが、H32年で2,7ヘクタールと見ていた。それがなぜ、突然H28年で20~30ヘクタールが可能となるのだろうか。そんな夢のような構想を中間報告として出したのが、このメンバーである。規模拡大の具体策は以下のようなものである。
戸別所得補償制度の適切な推進やほ場の大区画化と相まって、相続の際に担い手へ農地の集積を促す仕組みや農業機械の集約化を促す仕組み等、農地の集積を進め、農業の競争力・体質強化を図るための仕組みの検討を行う。以上の取組や農業の高付加価値化、集落営農の推進、消費者との絆の強化などの方策を、地域の特徴に応じて組み合せる。
それなりにこの会議を注目し、期待もしていた。今思えば恥ずかしい事であった。TPPの枠組みの中で考えるのでは、限界がある。川勝氏は以前は農業の展望については、期待できる人だと考えていた。中間報告には、目新しいものは何もない。すでに失敗してきた方法が示されているに過ぎない。絶対に出来ないと確信できるようなものである。その意味では、野田氏の発言で目新しい所は、5年と区切ったところだ。こうやっていよいよ、日本の文化が滅んでゆく。農林漁業を再生するためには、農地制度を現状のままでは駄目である。農地を海のような公共物としてとらえる視点が必要である。耕作権だけを農業者には与える。耕作をやめればその耕作者の役割は終わる。既得権益を無くすことである。経済至上主義から抜け出ることである。農産物は貿易すべき物ではない。気候風土に根差した、各々の民族文化を形成しているものである。それを駆逐するのが、効率だけのプランテーション農業である。
昨日の自給作業:田んぼの片づけ3時間 累計時間:29時間