家畜伝染病予防法の改正案
管内閣は「口蹄疫(こうていえき)や高病原性鳥インフルエンザなどへの対応を定めた家畜伝染病予防法(家伝法)の改定案を今国会に提出する。発生の通報が遅れるなどした農家に、家畜の殺処分の補償をしないなどの罰則を新設するほか、感染拡大防止策として発生農場の周囲の健康な牛豚の殺処分や、鳥インフルの原因とされる野鳥の生息地周辺の消毒を法制化する。 」この改正案の是非の前に、今起きている現実がどんなことなのかを、理解する必要がある。科学的に分析する必要がある。出水市のナベヅル生息地で鳥インフルエンザで死んだ、ナベヅルが居た。この時何も手を打たないでいたら、近くの養鶏場に感染が広がってしまった。だから、ナベヅルの生息地も消毒すべきだった。というのが法改正の一つの論拠らしい。自然界を消毒すれば、消毒が可能だと考えている。その科学的根拠が示される必要がある。ただ雰囲気としてやらないよりはやればリスクが減るというのでは、法律の根拠としては弱い。
自然の成り立ちに置いては、鳥が病気に感染して死んでゆくことによって、その病気と折り合いを付けている自然界の厳しい仕組みでである。人為的に人間がその仕組みにかかわることは、明確な解決への証明が必要である。当面の措置として行おうという、自然界の消毒という発想は、問題を深刻化させることに成る。一度はそれで済むかもしれない。2度目も良いかもしれない。しかし、いつかさらに手の打ちようのない病気に成って、帰ってくる。消毒という手段は決定的なものではない。鳥の生息域に生きている、微生物から水生動物等の餌にもにも影響するだろう。鳥たちは生息域を離れるということに成る。そしてその鳥の群れは衰退するだろう。と同時に、病原菌を保菌している鳥が居たとすれば、ウイルスの拡散に手を貸すことに成る。さしてどことも分からないところで多数が死ぬだろう。それを食べる動物から、次の拡散につながる。自然界の鳥の感染がたまに見つかるという状態は、一部を消毒すれば済むような状態ではない。
次に出て来るのは、すべての鳥を淘汰するという思想である。ホロコースト。自然界に対する人間のおごりである。それぐらいなら、畜産を止めて菜食にした方がまだましである。法改正の前の具体的な対応は、リスクの高い湖等水鳥の飛来地から、一定距離内の養鶏の禁止と、畜産業の団地化の禁止と、分散化の奨励である。大規模畜産場は5キロ圏内に1つとか決める。不可能なことではない。自然との折り合いの付け方だ。これこそ、法改正すべきことだ。人間側が考えるべきことで、罪のない野生動物を、追いやることはもう止めるべきだ。それは動物が可愛いというようなことだけでなく、人間自身がその悪循環のすえに滅びることに成るからだ。もし、わずかでも自然界を消毒できるなどという、妄想を抱く学者が居るなら、その論拠を法律を作る前に示す義務がある。その前提無く、突然野生動物の保護区に立ち入って、消毒を行い、環境を崩壊させるようなことは許される訳がない。今までの、多くの人々の善意によって、支えられてきた自然保護の活動を、無にしてしまう法律である。
トキ、アホードリ、タンチョウヅル、コウノトリの保護活動を行っている組織は、緊急に反対声明を出してほしい。良くわからないと思っている間に、日本の自然をめちゃめちゃにしてしまうような法律案が、改定されてしまう。今の政治は経済以外の観点は持たない、目も向けないから、自民党も間違い無く理解も出来ないまま賛成である。多分政治家の大半の人が、畜産農家が悪いぐらいの状況認識だろう。取り締まりを強化しない、各県の担当者も何をしているのかと怒り心頭であろう。感染があるたびに、網が不十分だった。と原因を養鶏場の管理体制を問題にする。自然養鶏で一つも発生がない現実をどう見ているのだろう。野鳥が感染して死んでいる。しかし、それで野鳥が目立って減ったようなことは聞かない。野鳥は乗り越えつつあるのだ。