小田原駅地下街の再生
小田原駅の南側には地下街があった。経営が2度行き詰まり、現在閉鎖中である。ここを小田原市が直接再生をするらしい。どう考えても商業スペースとしては経営は無理だろう。収入が見込めないとしたら、財政的に苦しい小田原市として、お金はどうするのだろう。「広さ約6500平方メートルの地下街は市とJRがほぼ半分ずつを所有。」とある。1度ならず2度倒産した場所である。さらに商業の状況は悪化している。駅には商業スペースが新たに出来ている。テナントだけでは経営できずに、市の施設が穴埋め的に作られる。それは郊外の運営費の安いところに作る場合の数十倍の経費となる。それでも駅前の立地でなければならない、行政の施設というものもない訳ではない。何をどうするのかは、市民にとっても見逃せない課題だ。どんなに節約をしても、こういうところで浪費してしまうのでは、他の分野でとことん切り詰めていることがバランスが悪く、耐えられなくなる。
駅前でなければならない、市の施設となると、地下街という条件だからかなり限定される。市のホームページに掲載されたものを見る範囲では抽象的な観念論で、玉虫色表現である。予算的な考え方は全く見えない。問題のすべてはここにある。市長も経営コンサルの経験があるのだから、重々承知のことだろう。何をやるにもお金はかかる。駅前で市が主催して行うことが合理的な施設が、一体なにで、どの程度の予算措置が必要かである。問題を単純に考えて見る必要がある。イメージ図の中では、市がやるべき事業は「情報発信・交流」「祭事イベント」ということらしい。後は業者をテナントにするということに成るのか。観光案内所などは駅のコンコースにあるが、こういうものを移動することになるのだろうか。いずれ相当の経費を必要とするものである。前提として、経営が可能であるのか説明がなければならない。
議会では傍観なのだろうか。まさかそんなことはないはずだ。大いに意見を聞きたい。武松議員は地下街のことで勉強会を行うと出ていた。市議会は21年9月全会一致で地下街の早期再開を決議している。と書かれている。再開した責任は全市会議員でとってくれるなら良いのだが。どうせうまくいかないとなると、反対をしていたような顔をするに違いない。市行政としては乗り掛かった船で、今撤退することが出来ないのだろう。どれくらいの支出で何をやるのか。このことを明確にしたうえで、市議会で市民の分かる議論を展開してほしい。当然、説明会も開催してほしい。事業仕分けよりも、こういう事業を立ち上げるときに、十二分の説明を行うことが大切である。説明会はインターネット中継くらい必要であろう。
「小田原駅及び小田原駅周辺は、富士・箱根・伊豆における広域交流の玄関口であるとともに、県西地域の住民の生活にとり重要な拠点区域である。地下街は、小田原駅東口に立地し、中心市街地の核となる施設であり、いわば“小田原の入り口”として機能し活用されるべきものであり、ここから市街地への回遊を促す重要な空間である。」この報告書の認識自体が現状と大きくづれている。駅というものの役割は、変わっている。富士・箱根・伊豆の玄関とは到底言えない。言う必要もない。舟原に暮らす者にとって、駅の地下街は生活にとり重要な拠点とは言えない。時代が変化していることに気づかない限り、3度目の失敗を繰り返すことに成る。小田原駅周辺の衰退の原因は、違うところに問題が存在する。そのことを正確に把握する必要がある。