自然農法の稲作
昨日、松本の波田町の自農センターの田んぼを見に行った。前回、7月14日に見学させてもらい、いくつもの疑問点が湧いた。そこで収穫前にもう一度見せてもらい、自農センターの稲作を考えて見たいと思った。自農センターの考え方は、普通の農家が取り入れ可能な技術で、自然農法の稲作を完成する、というところにあるようだ。だから苗もセルトレーとか特別のことをしない。普通の育苗トレーで作る。そして機械植えで田植えが行われる。多分使う苗箱の数も普通の農家と変わらないのだろう。見た所ではむしろ多い気がする。研究圃場のお隣で、スイカを作っている農家の方が、近くで稲刈りをしていた。稲が倒れかかっているのだがとても良く採れていた。10俵は超えているだろう。お話を聞いてみると、ここらは大体10俵は超えると言われていた。コシヒカリだそうだ株は大きめで、穂も大きい。10俵を超える見事な姿に見えた。自農センターの田んぼの感想を伺うと、とても良く採れている。素晴らしい田んぼをやるよと言われた。大豆かすでもやるようだ。臭うことがあるよとも、言われていた。
自農の品種はコシヒカリ、見事にきれいに出来ていた。特徴でいえば、草が小さい。穂数が多い。植え込みの密度も多い。分ゲツも多い。だから一面の穂だ。収量は10俵弱ではないかと思った。おおよそが私の理想とする、想像の逆を行っている。美しい田んぼではあるが、全体に勢いはない。計測した訳でないが。株の茎や姿は細い。葉も小さい。穂も小さい。粒も小さい。これはわからないが、多分根の量もおいい訳ではないだろう。それでいて、収量はある。すべてが穂に集まる感じである。倒れないのは、株がとても固いからである。無駄なものは何もない。実にこの点が見事である。草は二度機械除草をしたと言われていた。たまたま、研究員のMさんが、交配した稲の収穫に見えたのだ。お話を聞くことが出来た。前回は、余所に出掛けていて話が聞けなかったので、有難かった。電話で見せていただくお願いをしたときには、忙しいので、圃場を自由に見ていってください。ということだったので、邪魔をしてはいけない。短時間に要点だけを伺った。
例年並みの出来であること。収量の多い一番の要素は、昼夜の寒暖の差が大きく、でんぷんの蓄積が高まることにある。雑草を抑制するには、田植えを遅らせる効果が大きく、春になって、前年の稲藁の腐熟が進むので、一週遅らせると、一回の機械除草が減る。どこまで田植えが遅らせるかというと、リスクを考えると、このあたりでは六月二週ぐらいではないかと考えているそうだ。入水温度は13度くらいというから、ともかく高冷地である。稲刈りは、9月下旬だそうだ。しかし、見たところ、早い人ならばもう刈りどきに入っていた。葉の色もすっかり黄金色。実験圃場の交配稲の刈り取りなどがあるから、そこまで遅らせるらしい。Mさんのお話を聞いても、自農センターの研究員のレベルの高さには、驚嘆である。完全に稲作のステージがコントロールされている。田んぼのエネルギーを完全に使いきって、収穫を迎える。無駄な分ゲツなど全くない。
自農センターが普通の農家に出来る自然農法だとすると、私たちが目指すものは、市民が取り組める、自然農法である。機械田植えより、手植えである。一家族の食べるお米は2から3畝あればいい。100坪ない。それくらいなら、手植えの方が早いし、思い通りに出来る。もちろん、化石燃料は最小にということもある。苗作りも田んぼでの、苗代となる。すべてが違う流れになる。今回学んだことは、田んぼに秋に残ってしまうもの。これが問題だということ。肥料でお米を採るのではないこと。逆にいえば、初期生育に肥料を利かし、後半どう稲穂だけに肥料を利かせるか。秋落ちでなく、無駄な肥料が田んぼに残らない形。入れるたい肥を完熟にする事。早めに入れること。冬の緑肥料をどう考えるのかも重要。来年への意欲が、がぜん湧いてきた。