武器輸出禁止
北沢俊美防衛相がとんでもない発言をした。わが国には武器輸出三原則がある。三木内閣の時に大きな縛りを掛けて、その後は個別案件について特例を設けながらやってきている。わが国とすれば、そろそろこういうことについても、基本的な考え方を見直すとか、考え直すとか、そういうこともあってしかるべきというふうにも思っている。しっかり鳩山内閣の中で議論しながら考えていきたい。
驚くべき発言である。この人の普天間基地移設問題での発言も発言の度におかしいが、武器輸出三原則の見直し発言は、防衛大臣罷免に値する。平和憲法を持つ日本が、死の商人になりたいなど、持っての外の発想である。北沢氏は日本防衛装備工業会主催の会合でこの発言をしたという。北沢氏の防衛長官になってからの節度のない発言をかえり見るに、防衛省官僚の言いなりに発言しているだけの人間である。その時、その時の思いつきで、場当たり的な発言をしている。それは野党時代の発言を調べてみて良く分かった。この人は自分の考えというものが乏しい。首相の言いなりにも成るというので、選ばれたのかもしれない。ところが、防衛省でレクチャーされて、その拡声器になってしまった。鳩山政権の今のタイミングで、武器輸出など言い出すセンスがおかしい。汚職問題が出ると、憲法改定を言い出す人間が、自民党にはいた。目をそらすところは、日米同盟問題誘導か。
北沢氏の発言根拠は、武器輸出禁止は経済活動に支障があるとしている。いくら貧乏しても、武器輸出で金を稼ぐ国にはなりたくない。貧すれば鈍するとはこのことである。(1)日本でライセンス生産した米国製装備品の部品の米国への輸出(2)途上国向けの武器売却、は認めてもいいのではないか。そして、大目的はステルス製造中止などを踏まえて、次期主力戦闘機の共同開発に加わりたいという所か。北沢氏はそう言う主旨を誰かに言わされているように見える。常にお金になる所には、群がってくる人間がいる。日本の方向をどう考えるかである。もし開発費があるなら、環境関連にすべきだ。やるべきことはいくらでもある。次世代の太陽光発電など、平和的産業分野にいくらでもやることはある。文化的産業にも日本的特性を生かした開発努力で、やるべきことはいくらでもある。
アメリカはどこかで、嫌々の振りをしながら、普天間基地移設の日本提案を受け入れるだろう。その時、日本は弱みを握られることになる。日本人全体に約束を破った意識を持たせようとするだろう。そして、本丸である「日米同盟の見直し・アメリカの世界戦略の再編」ここでの議論をアメリカ主導で行うことを目指している。主眼はアメリカの防衛に大きく関わる所なのだ。アメリカはひつように、国際的約束という一点で、辺野古案にこだわる。日本の安全に取っては沖縄に偏在しないほうがいい、という考えもあるだろう。主眼はアメリカの国防の都合である。日本が中国寄りになること。アジアの一国になる。さらに、東アジアが一国として、UEのようにまとまる。これを怖れているのだろう。すでに、経済的には中国を中心とした、自由貿易圏が出来つつある。日本は乗り遅れかけている。日米同盟がネックになる。
日本がアジアの一国として、立脚する覚悟が持てるかである。アメリカのイソギンチャクで、いつまでも居ていいのかである。日本の文化は多くを中国から学んだ。中国の大きな影響の下に、日本独自に熟成をしたものだろう。島国である、地理的特性もあって、圧倒的な先進地域中国との、一定の距離を保つ幸運が、その独自の熟成を深めた。中国はこのまま進む事はできないだろう。大きな挫折は遠くない。そのときにこそアジアの日本の役割がある。協力して、安定化の道を模索しなくてはならない。その道は、武力の道ではない。日本の平和的、文化的、力量が役立つ時が来る。なまじの武器開発など何の意味ももたない。羽田さんはどうしたのだろう。北沢氏の迷走をどう見ているのだろう。