久野川の環境調査
久野川再生に向けた事前調査について--<美しい久野里地里山協議会主催>
とき --平成21年12月06日(日曜日) 午前9時~午後4時ころまで
ところ --久野川橋~支流の坊所川、久野川本流を車で源流域まで辿ります。
集合 --市役所(北分署前)AM9:00集合
問い合わせ先 近藤 忠 08056798069
水は農業をやっているもの、特に田んぼをやっているものには、生命線ともいえるほど重要なものである。その命の水の本流が、「久野川」である。小田原に生れ、小田原で海に注ぐ、根っからの小田原っ子の河川である。この川を守ると言う事は、小田原を守るという全てにつながっている。もちろん、小田原を流れる、大河としての酒匂川がある。この川は広い流域面積を誇り、富士山丹沢からの源流を集め、足柄平野のほぼ全域を潤している。ただ、取りとめもないほどの大きさがあり、気安く保全など言い難いところもある。その点、久野川は明星山の中腹に水源を持ち、ふるさと小田原を思い起こさせる。親しみある川である。
上流部は現状では杉檜の植林地帯が続く。源流地点より、かなり上に自然林が残っているという状態である。また、植林地帯を縫うように走る林道の存在がこの川にどんな影響を与えているのかも、気掛かりな所である。和留沢の集落を抜け、舟原に近づいて、里山の自然林がいくらかまじって来る。以前は田んぼがあっただろうと思われる、川べりが何箇所か見られる。そして、舟原にはまだ、全体で、3ヘクタール程度の田んぼが残っている。次の欠ノ上の集落とは以前は田んぼで繋がっていたのだろうが、今は放棄された田んぼや畑が、住宅の間に存在している。舟原に一つだけ残る、溜池によって灌漑されていた田んぼである。それから下流域はぐっと住宅が増えて、その住宅からの排水も川に流れ込む事もある。もちろん、和留沢でも、舟原でも、欠ノ上でも、住宅からの排水は、それほどの考慮がされず、久野川に流れ込む状態である。新しい住宅では合併浄化槽もあるが、普通の生活水はそのまま久野川に流れ込んでいる状態である。
留場の集落の下で坊所川と合流する。このあたりから、川は都市的な様相を帯びるが、川としては上流部の急流地帯を終わり、やっとゆるやかな流れとなり、落ち着いて田畑を潤している。以前は一面の田んぼであったのだろう。今は住宅の間に、いくらかの田んぼが残る状態になっている。川の名前も山王川と変わる。川岸には桜が植えられたり、椿が植えられたり、街場の住宅の中の息の抜ける、むしろ存在自体が、暮らしの潤いとして重要度を増しているようだ。ただ、川に沿って走る道には車が頻繁に通り、落ち着いて川を楽しむと言う事は、難しい。これからの川のあり方を考える、親水公園的に言えば重要な地点なのかもしれない。小田原厚木道路をくぐり、小田急線、大雄山線と交差して、後は久野を抜ける。この中流域あたりでは、海に注ぐ準備を川がすでにしていて、排水路としての役割が増している。
里地里山地域での久野川の存在と言えば、農業との関係がとても重要である。棚田の存在が、治水的にどのような機能を果たしてきたのか。田んぼの減少がどのような結果をもたらすのか。その意味では、生活排水と用水路との、使い分けが行われていない事も、農業用水的には問題だといえる。上流部の植林地帯において、河岸の10メートルは自然林に戻してゆくというような、新たな植林ができないものであろうか。雨が降ると、河川が濁流化してしまう現実がある。以前は、どんなに雨が降っても、川が濁るなどなかったそうだ。舟原には5基の水車があったそうだ。川の機能を見直してゆくためにも、水車の復活なども、これからの課題なのかもしれない。ごみの不法投棄の防止、河川の清掃活動が続けられているが、清流に戻すには、まだまだ課題が山済みである。感心のある方の参加をお願い致します。