大西広氏の講演会

   

小田原9条の会の主催で大西広京都大学教授の講演会が昨夜開催された。大西教授はマルクス主義経済の学者で、日中友好協会の理事でもある。今回の講演会が計画されて、初めて知った方である。どのような方か、インターネットで調べると、強い興味が湧いた。今回できることなら、中国の都市と農村の格差の事を、質問できればと思っていた。それは、中国の農村でこれから起きる事は、日本が経験し失敗した、中山間地の暮らしのあり方をどのようにして行けばいいのか。という課題が共通であると考えているからだ。「中国の農民にも、農地解放があった。そして、日本の農民の平均耕作面積の半分くらいの農地が、自作地として割り当てられた。これは、農民の権利であり、農民戸籍の起源である。農民は権利として、農地を所有し、それは5年ごとに見直され、農地が満遍なく農民にいきわたるように調整される事を、目的にしていた。」

こんなお答えを戴いた。さらに「中国の農民の暮らしという観点では鎮江市辺りは、とても恵まれた地域であること。」先生の専門である、「ウイグル族地域では農民ははるかに貧しいこと。」「農産物価格が工業製品に較べて、中国でも安いと言う事。」そのほか断片的ではあるが、いくつかのお話を聞くことが出来た。お話を聞いて、何かが理解できたとか言う事でもないが、農村と都市の経済格差の問題が何故中国で起きているのか。そして、中国でも競争主義的な農業改革進められようとするのか。日頃考えている事に若干参考になった。「中国の経済政策は江沢民時代、方向性を失いかけたが、胡錦濤政権になって、ましな政策を進めている。」ということらしい。出来る事なら、都会に移住したい。チベットはこれからよくなりそうだから、チベットで一旗上げられないか。さらに言えば、海外に出かけて行きたい。こう言う中国人の進出意識というものは、理解出来ないでいる。

こういう流れの一つに、「下放」という不思議な事が行われた。農村に行って勉強し直して来い。というような事なのか、島流しという罰なのか。文化大革命と言う事や、天安門事件。現代中国に繋がる様々な事件を、どういう視点で考えればいいのだろうか。そして、経済躍進の中に、埋もれて行く中国の伝統的農村文化。今来ている激流のような、かつて人間が経験したことがない、大きな社会変化を人間が許容できるのだろうか。実際の中国の農村はそのような社会の激流とはまるで別のように、4000年変わらずというごとく、たおやかに存在する。日本のように全てが一辺倒に、付和雷同している雰囲気ではない。そんなことを考えながら、先生のお話を伺っていた。そして、中国と仲良くする事が日本の平和主義を守るためには、とても重要な事である事を再確認できた。

日本の意識している中国の問題点は、日本人がそのように中国を位置づけたいというという心理状態から、想像した問題点が多々ある。躍進するお隣への恐怖心が、心理的に働いている。隣の芝生で、隣は一番の助け合う友人であるはずが、仲たがいし易い所でもある。東アジアの平和を考える時、中国中心の平和を考える事が何より重要である。日本がアメリカの核の傘にあると、言う今の状況は中国の核の傘に日本が入ると言う事もありうる。こんな不安が今アメリカには起きているだろう。もちろん、核は全て廃絶されるべきものだが、こうして核拡散が続いている状況で、東アジアの一員としての日本は、北朝鮮の問題で躓いて、どこにも進めないでいる。北朝鮮との和解がないまま、東アジアの連携を模索することはできない。連携が出来ないかぎり、軍事的危険は増してゆく。当然、日本の核武装論も繰り返し出てくるだろう。「民主党政府が定まらない今の政治状況は、国民が正しい方角を指し示し、方向を正す絶好の機会である。」これは参考になる考え方であった。

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