アマランサスの播種

   

夏場の青草に一番役立つのが、アマランサス。ヒユ菜。本当はひゆ菜の名前が好きなのだが。最近は健康食の一つとして、アマランサスの方が名の通りが良い。インカの主用食物であった。ジャガイモ、トオモロコシとアマランサス。ひゆ菜の方は江戸時代から栽培されていたようだ。多分日本では江戸時代に野生化したひゆ菜が存在すると思われる。背丈が2メートルまで伸びて、先に白い穂をつける。山北の家には蒔いたのでもないのに、自然に増えていた。小田原でも養鶏場にはいくらかは生えて来る。人間も食べられることは確かだが、別に美味しいというほどのものではない。夏場、葉物が乏しくなった時には重宝なものだ。夏元気なエンサイと同様に扱える。エンサイは水が好きなので、ひゆ菜の方が乾いた土地には適している。モロヘイヤというのも夏に強いので、人気がある。残念ながら味的に合わない。

アマランサスとひゆ菜はかなり違う。ハゲイトウも同類らしいので、大きく言えば似ているが、実の付け方が違う。アマランサスも大きくなって、大きな房状の実をつける。熟した種子を食用にするのが、アマランサスである。当然育種されて、身の量の多いい、品種が作られている。鶏の餌に使うのは葉っぱのほうである。小鳥のえさなら、アマランサスは悪くないと思うが、鶏に食べさせるほど作るのは容易ではない。エンサイモロヘイヤもそうなのだが、夏場に葉が虫に食べられない。夏場に繁茂する雑草は、虫が好まない何かが葉にあって、苦くて食べられるものは少ない。小松菜だって、例え虫が食べないように殺虫剤をまきながら、育てたとしても、人間が食べすぎるとよくないような成分を葉に溜め込む。春先なら、どんな草でも食べられるのに、植物も自然界に対応している。それが外来の植物の中には日本の虫をうまく避けてくれる葉ものがあるのではないか。

人が食べられるような草を鶏だって好きだ。当然野菜とよばれる様な物なら、飛びついて食べてくれる。春の草なら、葛などでも盛んに食べるが、夏の葛は喜んでは食べない。そこで夏はアマランサスを栽培して、与える。7月までは何かと、草はある。特にカラムシという草はとても好きだ。どこにでもある雑草だから、これをしばらく集めて与える。豚も好きだというが、人が食べられるものではない。これは少し不思議に思う。カラムシ織というのがあるそうで、茎の繊維は長くて強い。いずれ近隣のカラムシは採り尽すので、その次が栽培のアマランサスである。栽培と言っても、ただあたりに撒き散らすだけなのだが。草の中に蒔くのがコツである。カラシナが実が付いて終わりになった、今頃翌日は雨だというタイミングで、蒔いて歩く。種はじか採取すれば簡単に済む。1反で2キロもあれば良いだろう。

鶏のおこぼれを人間が戴く。バイアムというのが、葉物としてのひゆ菜の名前で、みんな似てはいるが、少しづつ違うようだ。人が食べやすいように、野菜に育種したのが、バイアムであろう。バイアムはそう大きくなるものでない。鶏にやるにはアマランサスの方が、葉が沢山あって良い。下葉からむしりとって与えれば、相当の量採れる。1反に蒔けばほとんどとり放題という感じになる。しかしこれが上手く出揃うかどうかは、毎年気掛かりなことだ。少し手をかけて、種が埋まる程度にしてやれば発芽が良くなるのだろうが、そこまで手をかける事が出来ない。こまめにそう言う事が出来ない。それで、一か八か、昨日蒔いて歩いた。今晩は雨の予定だった。しかし振りそうもないので、無駄になったかもしれない。倒れたカラシナの下は湿っていたので、何とかなることを期待する。

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