ひよこがやってきた。

   


3月3日雛祭りに53羽のひよこが到着した。雛祭りとは縁起が良い。そういう訳でもないが、雌のひよこばかりだ。久方ぶりに雛を購入した。松本にある、小松種鶏場という雛の生産会社から送られてきた。50羽お願いして、3羽がおまけ。50羽が送れる最小単位。品種は「岡崎おうはん」プリマスロックとロードアイランドレッドの交配種。つまりネラと同じか。現代農業の品種紹介の記事で興味を持った。今年自分で孵化することは、辞めにした。一年辞めても、来年笹鶏を孵せば、種の保存は問題がないので、一年孵化を休むことにした。あれこれの事が集中しているので、無理をするのを止めにした。雛の孵化は集中して行わないと、命を扱うことだから許されない。雛を孵化して育てると言う事だけなら、雛を購入するのと、それほどは違いがないが、雄鶏が半分生まれる。これを育てて肉にすることまで考えると、ちょっと今年は手が出せないと思った。今年に入ってから、基本養鶏は1人で行っている。1人で行う限界のようなものがあるから、それを見定めてと言う事もある。

ひよこはいつでもかわいい。黒い色のひよこで、頭に白いベレー帽をかぶったような姿だ。これを見るとネラと同系の交配種だと言う事がよく判る。鶏の品種という物は混ぜこぜが普通で、一代交配ならなおさらの事、姿の乱れは当然。到着した時にすでに初生雛の割には大きかった。笹鶏の大きさに慣れているからかもしれない。握った感じもがっしりしている。とてもいい雛だ。目の色は独特の茶色がかった透明のグレー。特徴がある。えさ食いも始めから良い。最初は黄味だけを与える。良く最初は固いもの、玄米だけと書いてあるものもあるが、私は黄味から始めて、徐々に親と同じえさに移行する。それが私には一番育てやすい。親と同じえさを与えると、結構粒餌から食べる。こう言う所が面白い。だから成鶏の餌に小米を混ぜることになる。緑餌も1週間目からは与える。生れてすぐはやらない。下痢をさせるのは恐い。お尻に糞が固まり死んでしまうことがある。そういう時はぬるま湯でゆっくり溶かしてやる。

床の発酵の準備は1ヶ月前から、3回発酵させて置いた。床が発酵していないといけない。病気が出る。ヒヨコ電球で補助的に温度を加える。床の発酵熱だけで育てるのが一番よいが、管理的に安定しない。温度は別にしても、床が発酵していれば、ひよこは丈夫に育つ。踏み込み温床で育てる苗と同じことである。何故かは分析できないが、この育て方が、一番健康的な鶏が育つ。免疫力が向上すると考えている。餌の方は栄養価が低いためか、いつもヒヨコの試験データーより初卵が遅れる。遅れてもかまわないと思っている。あまり促成に育てるより、健康な鶏になって長く産んでくれる気がする。岡崎おうはんの産卵率でーたーは、いかにも高すぎる。こんなに産む訳がない。63週目で80%を超えた産卵。この辺りは小松種鶏場でも、ちょっと信じられないと正直に言われていた。ネラでよく言われるのが、卵が美味しい。これは黄味の大きさが大きいからというのが理由。以前飼った経験では、笹鶏と較べては、そうした変化はなかった。到着、3日目だが、先ず一番大変な第一段階は超えた。

今年は、鳥インフルエンザの最中の育雛になる。3軒目の抗体の見つかったうずら養鶏場では、ウイルスは見つからない。要するに、最初の2軒もしばらくすれば、何の影響もなく、抗体だけ残し収束したのだ。つまりこれはワクチンをして抗体ができたの以上に素晴しい、自然抗体ができたと言う事。これが何故いけないというのだろう。つまり、感染の連鎖のリスクだ。32万羽では7回の感染の連鎖のリスクがある。その感染の繰り返しの間に、強毒化する可能性がある。だから、鶏を何10万羽もまとめて飼う事はいけないことなのだ。これが私の養鶏場であれば、1回の感染で終わりだ。こうして生き物は生きてきたのだ。人間を考えてみれば、良く判る。どれほどインフルエンザを防御した所で、ワクチンを摂取した所で、感染する可能性はある。インフルエンザを完全に防ごうという発想が間違っている。ヒヨコは1週間が経過し、親の免疫を失い、自らの免疫を徐々に確保する。この際、一切外界と接触させない状態では、健康な鶏にはならない。自然の姿を普通に考えれば分かることだ。

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