神奈川県有機農業推進計画素案

   

神奈川県有機農業推進計画素案が現在、パブリックコメント段階である。他の先進策定県のものと較べても、しっかりしたものになっている。と評価できる素案である。
目標として、1、技術開発2、相談指導体制3、消費者の理解が挙げられている。
1、技術的研究を県の総合技術センターを中心にして、有機農業の実施農家の協力を経て、事例調査をする。技術普及員が有機農業を指導できるよう。教育することも明記されている。

2、新規就農者に対する研修機関。就農相談の県アカデミーでの情報一元化。詳細な実態把握を行う。共同利用機械の整備支援。有機農業技術展示。巡回検討会の開催。県アカデミーで有機農業技術の研修を行う。

3、消費者の理解と販路の確保消費者の理解は抽象的表現に留まる。販路については商談会の開催まで明言している。新たな県独自の表示法の開発も検討するとなっている。既に行われている事業に対する支援。ホームページを活用すると書かれているから、情報の県での表示案内が行われると見ていいのだろう。

以下問題点:
1、都市農業における有機農業の推進を考えると、2つの問題が存在する。
まず、国の取り組む「美しい農村」のイメージである。都市住民にとって農村の価値が、認識されない限り、そこに税を投入する意味の評価がされない。特に都市農業においては、特に有機農業による環境保全が有効な方法であることを、明確に位置づける必要がある。それは県の里地里山条例と連動するものでもある。
次に有機農業による市民農園を、農家の事業として考える必要がある。現在先行事例として、小田原には有機農業を条件にした、市民農園をNPO法人CLCAが県の補助事業として行っている。又、NPO法人あしがら農の会においては、市民が自給的に有機農業を行えるよう、支援を展開している。それらの面積は小田原市内だけで7ヘクタールにも広がっている。それは地域農家の事業として、有機農業であるが故の事業とも成っている、現状があります。これを、推進計画に盛り込む必要があると考えます。

2、有機農業技術の開発と情報の収集において、神奈川県では昭和30年代からの蓄積が存在する。特に小田原地区においてはJAS認証者だけでも県の42名中の26名が存在し、JAS認証を受けないが有機農業を農家的に行うものも、同数以上存在する、実態があります。有機農業技術的にも確立した、全国的に発信されているレベルものが存在する。こうした農家との技術研究の連携を具体的にとる必要がある。出来ればこの地域に研修施設を作ることが最善であろう。それができないのであれば、研修・研究農家を具体的に指定を行い、補助してゆく必要があろう。
環境保全型農業との関係は表記に注意しないと誤解を生む原因になる。
「有機農業は、化学合成農薬や化学肥料を使わないことを前提としているが、これらの使用を最小限にする環境保全型農業とは栽培技術の面で共通する部分が多い。」この表記は「栽培技術の面で共通する部分が多い」を「からの転換をはかる栽培技術の研究が必要である。」に変えるべきであろう。
有機農業への転換が、徐々に農薬や化学肥料を減らして行き可能に成るという誤解が生れている。むしろ減農薬からの道筋では、有機農業は不可能という有機農家の認識があります。有機農業は総合的に取り組んで始めて可能になるものであるため、段階的に農薬を減らしてゆくという方法は、むしろ技術的混乱が生じる、という認識が必要。

3、都会生活者が有機農業に興味を持ち、農業に入る事例は今までにも多い。又神奈川県の都市農業においては有機農業による、直売や宅配形式の事業展開が、今後広がることが予想される。アメリカの事例においても、そうした展開が、輸出型の大規模農家が存在する一方で、都市近郊には小規模な有機農業者の存在が広がっている。新規就農者にとって、経営可能性の高い分野といえる。有効な県の農業政策の柱となるはずである。そこを推進計画に明確に位置づける必要がある。

4、有機苗の生産技術の開発、市民が有機農業に関心を持ち、実際に家庭菜園で体験することは、有機農業の普及の大きな柱になる。その為には、どこでも有機苗が販売される必要がある。そのための苗生産が、新たな農家の事業となるはずである。技術的研究と、生産体制の整備が行われる必要がある。稲作の有機苗の生産体制の整備。ほぼ技術的には確立されているので、農協で生産し、販売することを前提に、体制の整備が必要である。稲作の場合、有機苗に転換すれば、他の点では農薬を使わなくても簡単に有機農業へ転換できる可能性がある。

内容は未整理のまま、気がついたところのメモ。

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