金融崩壊後
株価は乱高下を相変わらず続けているが、行き先のない資金がうごめいているように見える。何か人間の欲の哀れさを感じる。上下しながらも、全体としては実体経済に連動した所に落ち着くのだろう。その水準は、さらに下がると見ている。これだけの戦争を続けてきたアメリカという国の実体経済である。一端破綻を始めれば、全体が国有化されてゆく、道筋をたどる。それは、金融に始まったが、どの産業にも連動してゆく。自由経済の終焉。アメリカの世界戦略に組み込まれ、日本はどれだけの損害を与えられているのだろうか。考えるのも怖ろしい。世界の経済活動はいびつに肥大化を続けてきた。アメリカでの不必要な住宅建設とそれに伴う、投資。中国の極端すぎる建設ラッシュ。こうした物で無理やり、拡大しているかのように見える経済も、実態としては下降線に入っていると言う指摘は、相当以前からあった。
実体経済の弱体化と、金融や投資の分野での無理やりの拡張。当然くるべき物が今来ている。中国のバブルは崩壊する。これはもう始まっている。経済格差が極端な社会での不景気。怖ろしいようなことが予測される。農村では農地の売買が正式に認められたようだ。農業の寡占化が起きる。農地のない農民の登場。農村人口の都市流出。農民の農奴化。予測されることは色々ある。無理をしすぎた社会の推移は注目しておかなくてはならない。日本への影響。企業の中国での生産現場の混乱。中国への原材料輸出の途絶。日本の再生廃棄物の問題化。中国農産物がどうなるか。日本の産業も車や重機などの輸出は減少。産業全般に一段の冷え込み。失業の増加。負のスパイラルに入りつつある。もう楽観できない所まで来ている。にも係らずアメリカは戦争を止めない。莫大な戦費を投入し続けている。
アメリカから離れる国が当然のごとく増加してゆく。南米各国は既に顕著だが、アフリカ、中東、アジアと波及してゆくことだろう。一方ロシアの台頭が起こる。ロシアも金融危機状況は変わらないが、資源国である。他の国とは条件を変えている。石油の備蓄体制を強化し、石油による世界への影響力の強化を図ろうとしている。アイスランド、グルジアに対する動きはその始まりだろう。アフガニスタンの失敗も懲りていないのがロシアである。力の外交はロシアの本領だ。アメリカとその衛星国の関係は利害関係。係ればかかわるほど負担の増える国、アメリカ。しかもそのメリットはいよいよ減少を始めている。日本も要注意が必要だろう。アメリカとの緊密さは、一定距離に引くとして、ヨーロッパのEU連合のような、アジア連合の形成に進む必要があるのだろう。経済の崩壊が始まる中、どのように接点を求めてゆくか、検討課題が山積みである。
いずれ食糧危機にいたる。既に途上国では食糧危機が深刻化しているが、これは先進国にも及んでくる。特に日本の状況は悪くなる。金融危機を単なる流れの滞りと見せたいというのが、政府の思いのようだが、世界経済は戦費のバブルが崩壊した。莫大な資金で石油価格を吊り上げるような、ゆがんだ構造が投資先をもと求めて、世界を席巻し、本来不要な投資を増大させバブルを演出した。それも戦争が絶え間なく起こる、原因の一つだ。崩壊して当然の事だ。お金の行き場がない為に起きていること。投資先なら、当然食糧生産だろう。食糧の買占めのようなことが起きるだろう。食糧に偏在がより深刻になる。選挙を控えた、緊急経済政策の中で、評価できるのは、3年後の消費税の値上げ。減税のばら撒きなど全く意味がない。しかし、カップラーメンが400円ぐらいだと思っているような人に経済が判るだろうか。