鬼柳の田んぼ
酒匂川左岸の桑原より上流に当たる。鬼柳の田んぼをやってもらえないかと言う話が、行政のほうからあった。前回のめだか協議会の席での事だ。とても大変なことだとは思うが、あしがら農の会の役割だと考え、引き受けることにした。大きな田んぼではなく、5メートルの100メートルと言う、細長い耕作しにくい田んぼだ。しかしこの辺りは、平家ボタルも居るし、メダカの生息も色濃い。鬼柳方面では環境的に重要な地点だった。25メートル道路建設の為に、沢山の田んぼが失われる。足柄平野で一番環境の豊かな地点が失われる。昔は酒匂川からの湧水の地で、湿原地帯でもあったのだろう。池も沢山あったようだ。その環境に多様な生き物が生息してきた。湿地が田んぼとして引き継がれ、湧水が環境悪化を凌ぐことになり、この地域だけに生き残る生物が居ることになる。今回の道路建設はその環境を激変させることになっている。少しでもこの環境を残すために、行政も環境保護団体も、協力して取り組んできた。
鬼柳の田んぼは道路で半分以上が削られてしまい、細長い作りづらいものになった。地主さんからは埋めてしまってもらいたい。行政ですべてを買って欲しい。など色々の要望があるらしい。農業の視点から考えれば、当然の事だろう。それでも田んぼが減ることは、少しでも避けたい。そこで農の会の事が出てきた。農家としては、安心して任せられる組織で無ければならない。必要なときには返してもらえて、耕作権など付かない条件で無ければならない。貸したはいいが、草だらけのみっともない田んぼでは困る。地域での清掃活動や、草刈水路の土上げなど出てもらわなければならない。担い手は不足している。あれこれの点で農の会には、安心して貸せる実績がある。これが良かった。下話の段階だが、地主さんも貸してもいいという方向になったそうだ。
鬼柳での耕作は始めての事だが、地元の皆さんに信頼される田んぼをやりたい。来年の大きなテーマになるだろう。冬季湛水が出来れば一番いいのだが、これは田んぼが出来上がってみなければ条件がわからない。畦を直して深水はしたい。ソバカス抑草もやりたい。そして10俵とりたい。以前桑原では冬季湛水で10俵取った経験があるので、何とかなるのではないかとある程度の自信はある。初年度から冬季湛水は良くないかも。先ずは普通にやる。草を生やさないのは最低条件だろう。出来れば今から貸していただき、土づくりには入りたいのだが、出来れば草を持ち込んで、堆肥を積みたいが。まだ工事中だから、何時から使えることになるかはもんだいだろう。少なくともレンゲくらいは早めに蒔きたい所だ。
農の会を始めて15年。所期の目的にはまだまだ遠いが、一歩前進したと言う事がわかる。行政も報道も耕作放棄地と簡単に言うが、農家にしてみれば腹の立つ言葉なのだ。農家にはご先祖から受け継いだ、大切な農地を守らなくてはならない。こうした思いはどなたにもある。それが様々な事情で、出来なくなっている。農家自身の責任ではない場合が、一般的だ。一番は採算が合わない。農業をやっていたのでは食べていけない。それでも守ろうと言う気持ちがあるからこそ、何とか今も日本の農地は維持されている。今回の鬼柳の田んぼも、地主さんにそうした気持ちが無ければ、田んぼの命は尽きただろう。もう少し頑張れば、農業を取り巻く状況は変わるだろう。食べ物を人任せに出来ない、当然の時代に戻るはずだ。
昨日の自給作業:草刈、1時間 累計時間:24時間