稲作での疑問
田んぼではカルガモの雛が、10羽育っている。随分と大きくなった。卵を抱いていた頃、カラスにしつこく襲撃された。一度卵を食べられてしまった。今年は子育てを止めるかと思いきや、場所を変えて、すぐ次の準備をした。気が付いた時には小さな雛を、行列させて、畦で休んでいた。
稲作の常識とずれること
1、 中干しが何故稲に良いのか。
稲は川岸の植物である。それも、河口の堆積した三角州や、汽水域の砂洲のような場所に自生した植物であろう。乾いていた地面に、徐々に水かさが増えてゆく、過程がある。雨季が始まり川幅が広がる。それに合わせるように稲の種子は芽生え、生育を進める。水位の上昇は続き、背丈を増しながら成長を続ける。分結も起きるだろう。水位の上昇は停滞し、水圧の減少の始まりが合図になり、実りを迎えるのではないだろうか。もしこの先、水位の減少が極端に大きければ、実りが幾ら小さいとしても、水の中にあった長い茎は倒れてしまうはずだ。だから水がなくなるような変化は先ずなかったのではないか。水位の減少が実りの合図である可能性は大きい。だから、深水管理から浅水管理に変更することが、実りのシグナルになる、可能性はある。しかし、実りまでの間に、常に土がひび割れるほどの乾燥が来る事は、考えにくい。稲が実るときは、根が充分に生きていなけばならない。その為には土が乾く事は、マイナスではないだろうか。
2、 水が深く、陽が根元に通らない、と分結が取れない。
分結が16から20ぐらいはないと、いい稲の状態ではないと言われる。分結は水温に大きく左右される。流し水管理や、谷戸田の冷水では一般に分結不足になる。日照不足も分結が採れない大きな要因である。しかし、株元がつまり、分結が出てくる箇所に日が当たらないことが、分結不足に繋がるだろうか。分結するのに、80ミリの水深の水圧が高い為に分結が出来ないと言う事があるだろうか。分結が採れない理由は入水温が15度から18度と20度と田植え後一ヶ月低いこと。次に田んぼ自体が、日陰で、日照不足になる。イメージとしては深水管理や浮き草に覆われた状態は、よく似ている。しかし入水温が高い、日当たりの良い田んぼでは、深水や浮き草、アオミドロによる分結不足は起きないと、感じているが本当だろうか。
3、 減水深が大きい(日量100ミリ以上)田は収量が低い。
減水深が大きい要因が、純粋に縦浸透であるとするなら、それは粘土分が不足した田んぼと言う事である。これ谷戸田では普通の事である。300年も田んぼとして、使っていることが確かな田んぼでも、谷戸田は減水深が大きく、粘土分が不足していると思われる田んぼがいくつでもある。粘土分が集積し、減水深が小さくなることは、必ずある事ではない。しかし、充分収量は取れている場合もある。つまり、減水深が大きいと言う事は、田んぼの腐敗、沸きは少ない。酸素が十分に補給されていくからだ。問題は入水量が多い為、水温が低く成るという問題がある。しかし、入水温度を上げてやれば、減水深の大きさは、良い土状の形成に繋がる。減水深が大きい事を、むしろ栽培の長所にしていく管理が、存在するはずだ。
今年の稲の栽培で学んだ事は、水温を上げる事が、舟原田んぼでは全てに優先すると言う事。コナギやヒエは水温とはあまり関係しないこと。水温が高いと溶存酸素が低くなる。コナギの発芽が促進される。しかし、水温が高いとトロトロ層の形成は早くなる。このバランスによって、水温が高いなら高いなりの抑草法が存在することに気付いた。