ベトナムODA贈賄
あると思ってきたことだ。残念な事だけど、そういうものだと想像していた。まことに腹が立つ。日本の経済援助が、日本企業への税金の還流である。と散々言われているし、OECDでは日本の、公正でないやり方が批判されてきた。これはベトナム戦争のときに既に、指摘されていた事だ。今回の事件はPCI(パシフィックコンサルタンツインターナショナル)が起こした。例の中国に残された毒ガスの処理の汚職で、摘発されている会社だ。脱税容疑でも、告発された。発端はゴルフ接待で著名になった、守屋防衛庁事務次官の逮捕から始まっている。守屋事務次官の逮捕や、情報の提供が無ければ、明らかにならなかった事件だ。 ODAは外務省の説明によると、Official Development Assistance(政府開発援助)の頭文字を取ったものです。政府または政府の実施機関によって開発途上国または国際機関に供与されるもので、開発途上国の経済・社会の発展や福祉の向上に役立つために行う資金・技術提供による協力のこと。
日本の国益に沿う、援助を行う。麻生氏が外務大臣のときに、「情けは人の為ならず」とODAを説明している。それではベトナムで具体的にODAと言う形で何をやってきたのか。1兆円の90%はベトナムの工業化の後押しである。日本企業がベトナムに進出できるようにする、基盤整備を開発援助の形で行ってきた。ハイフォン港湾整備、高速道路の建築、タンロン工業団地の基盤整備、結果直接投資が、1億ドルから、9,4億ドルに急増した。このように外務省が説明している。現在、南北高速道路、南北高速鉄道、ホアラック・ハイテクパークなどが検討されているようだ。この少し露骨な形の援助が、OECDでは自由競争の阻害と、批判されている訳だが、日本以外の国の援助も国益に沿ったものであるのは、何も違わない。全体の援助額は、米、独、仏、英に続く世界第5位。ベトナムへの日本からの政府開発援助(ODA)額は昨年度、一千億円を超す。1992年から06年までに、円借款だけで約一兆円と巨額だ。介在する企業には、“カネのなる国”に見えるだろう。
企業が進出するための、根回しのようなODAは国益に沿うとは言えない。企業の利益には確かになっている。企業の利益が、日本の利益と同じものであると考えれば、日本の利益では在る。しかし、池田首相がその昔、フランスを訪問した時、「トランジスターラジオのセールスマンが降り立った。」と揶揄された。経済的視点ばかりが強調される、日本人は尊敬されない。本来の援助はその国の自立支援だ。例えば飢餓のアフリカに食料を送るのでなく。自給できる農業基盤を援助することが重要だと考える。水の確保。教育機関の整備。農業技術の支援。もちろんそうした支援も、無償援助という形で、ベトナムに提供している。円借款に較べると、10分の1以下である。はっきり区切れる訳ではないが、直接的な工業化支援は円借款と言う形になっている物が多い。
日本の国益と言えば、食糧危機問題が一番だろう。これから、世界的に食料が不足する。各国が食糧の自給を行えるよう。農業の基盤整備に援助をすることが大切だと思う。日本企業が海外進出する、お先棒のような援助は、もう止めるべきだと思う。見返りを求めない。この精神が大切だ。外務省の説明の仕方は、日本の国民を打算的な性格と、見ている。こんなに日本に直接的利益があるのだから、もっとODA予算を増やして欲しい。このように説明し、訴えている。これではダメだ。この直接的な利益をむさぼろうと言う、PCIのような会社が登場すれば、1兆円のいままでの努力が無になってしまう。ODAを食糧生産の支援に絞れば、直接の利権も無ければ、すぐの見返りもない。支援と言うものはそうあって始めて生きてくるものだろう。