田んぼの何故だろう
今朝やっと見つけた、コナギの様子。
田んぼの中は不思議な世界が広がっている。それは稲作と言う、何千年かけて作り上げられた、独特の農法に由来している。例えば、中干しと呼ばれる、3,4日水を止めて土を乾かしてしまう、栽培法が一般に行われる。ひびが入って、根が切れるほど乾かす。稲という植物はそんな環境に自生したものとは思えない。機械化と言う事も加わり、奇妙な技術と言える独特の方法の集積で、田んぼは出来ている。種蒔きから、田植えまででもたぶん100通りぐらいの多様な手法が存在する。化学肥料や、農薬が登場して、随分単純化したとは言え、稲作の技術は他の作物に較べればて、はるかに多様で、複雑だ。水の駆け引きでも。深水がいいという人も居れば、浅水がいいとも言う。間断潅水と言って、乾いたら、水を入れると言うやり方もある。朝だけ入れる人も居れば、夜間に入れる人、流し水の人。出来る限り深く長期間入れるのもある。いずれ、連作が可能で土壌を育む優れた農法である。
田んぼのおもしろいのは、そうした様々な技術が、大きく言えば収益と言う形で結論が出る。何かで比較できると言う事は優劣があると言う事で、本当は科学的分析可能な技術のはずだ。所が川口由一氏の川口式が、宗教のような雰囲気になっているように、田んぼの手法から、生まれた宗教はいくつもある。要するに奥が深いのだ。奥が深いから、結構摩訶不思議な理解不能の事が起こる。種籾をまず、手かざしで祈祷するなどと言う技術が、術が登場しても、あながち否定しがたいところがあるのだ。私だって、先ず種籾を海水につけるなどと、変なことをやっているのは、根拠と言ってもインチキ科学のようなものだ。あれもこれもありでは、訳がわからないだけだが、全ての手法が科学的な筋道も、わずかに推測できる所が面白い。出来る限り科学に準拠したいと思っているが、これが宗教とどれだけ違うかと、つい思うほど田んぼは多様ということだ。
今度、柿野亘氏による「田んぼの見方、感じ方」と言う勉強会を、8月3日に行う。興味がある人はどなたでも参加できるので、笹村まで連絡を下さい。柿野氏が言われるところでは、技術と言うより、「自分の見方を持つ」と言う事が大切と言われていた。田んぼは思わぬことが起こる。その思わぬことを何が起きたかを常に、判断しなくてはならない。そのときに、見て行く視点が大切だという。名人はそれぞれが、皆さん一定した視点を持たれている。その視点を持つためにはどうすればいいか。そのヒントをもらえればいいと思う。田んぼの中で起きている、土壌の中で、水の中で、どんな世界が広がっているか。これが模式的に見えるようになりたい。水を入れたらどんな事が起こるか。浸透してゆく水で、喜ぶ生き物、死に絶える生き物、孵化する卵、発芽を準備する種子。
田んぼで不思議に思っていること、1、何故、干しを行うのか。干しを行うと土壌はどう変わるのか。2、無効分結は何故起こるか。どうやっていらない分結をとめればいいのか。3、深水にすると、分結が減ると言うが、本当か。4、光を遮断すると、分結が減ると言うが本当か。5、トロトロ層は、どんな仕組みで出来るのか。生き物が作り出す、トロトロ層と機械的なものでは作用は違うのか。6、粒張りを良くするには、なにが重要か。7、種籾の更新は何故必要か。8、田んぼにメダカは卵を産むか。9、ヤゴはあまり田んぼでは見ないが、なぜか。10、冬の緑肥栽培はどうあるべきか。11、美味しいお米とはどんな物を指すのか。12、トロトロ層で、何故雑草が抑制されるのか。13、田んぼの浸透性はどの程度を理想とするか。14、水温は何度の入水が、いいか。夜温、昼温の差はどうあるべきか。15、水を長く入れていたほうが、根が枯れないが稲にはいいのか。