コウノトリ育む農法
兵庫県豊岡市では、コウノトリ育む農法が取り組まれている。豊岡市は人口8万9000人。京都と接した日本海にも面した地域だ。コウノトリもすめる豊かな環境の町を、うたっている。コウノトリ育む農法の柱. 1)農薬の不使用または削減. 2)化学肥料の栽培期間中不使用. 3)種もみの温湯消毒. 4)深水管理. 5)中干し延期. 6)早期湛水(できれば冬期湛水). 7)堆肥・地元有機資材の活用. 8)ブランドの取得と成っている。昨年度は作付面積が、150ヘクタール。コウノトリ舞という形では、244ヘクタール。ここでの取り組みは日本の有機稲作の技術の集大成と成っているといっていい。コウノトリは、大型の肉食の鳥類。日本では生活環境が無くなり、一度は絶滅した鳥である。ロシアからもらいうけ、飼育を繰り返し。ついに野生化までこぎつけたという、世界でもまれな、動物保護計画だ。
一番の要が、田んぼと湿地の再生。コウノトリを要に、様々な地域再生のプロジェクトが展開されている。特に子ども達のなかに、コウノトリとの関わりから生まれた暮らしの環境意識の変化に、未来に繋がる展望が見えてきているという。もう一年になるが、昨年豊岡市から西村いつき氏をお招きして、めだかサミットを開かせてもらった。西村いつき氏兵庫県の農業改良普及員の方。3人のお母さんだそうだ。子供の未来に何が残せるか。そうした熱い思いが、豊岡の「コウノトリを育む農法」を作り出す。コウノトリ「でも」住めるまちづくり。といわれていた事を思い出す。コウノトリがすみよい環境は、人間にとっても暮らしやすい。そのとき400ヘクタールの作付けを目指すといわれていた。この規模に成ると、一番は販売だろう。10キロ7500円での販売がされている。
今年は放鳥したコウノトリが産卵した。4月下旬には孵化の予定だそうだ。コウノトリは、毎日500グラムのドジョウやかえるを食べる。この餌の復活が放鳥の課題だ。田んぼや水路を自然に近づけなければ、生き物は増えない。水路が3面コンクリートになれば、ドジョウは住めない。土の水路は管理が大変だ。除草剤を使わない、田んぼの管理も手がかかる。これらの手間が価格に反映されなければ、農家としては取り組みたくても取り組めない。結局は食べる人の環境意識にかかっている。コウノトリや丹頂鶴は、江戸時代には全国いたるところにいた。人を恐がる事も無く、共存していた。明治以降の日本人の暮らしの変化が、自然に対する日本人の接し方を変えた。江戸時代には無かった、むやみな殺生。無意味な乱獲もおこった。
今でもネパルールでは、大型の鶴が田んぼで耕作する人の脇で餌を食べている。日本にそうした景色が戻る事。それには、農業というものを、日本人全体が見直さなければ、ならないことだろうし、生き物との係わり合い。日々の暮らしへの眼差しの変化が必要だろう。兵庫県の農業普及員である西村さんが取り組んだのは、コウノトリが稲の苗を踏み潰さないかの調査。生き物より、自分達の暮らしが先だろう。これが普通の時代。生き物が豊かに暮らせないような環境で、人間が豊かに暮せる事はない。コウノトリは、小田原にもいる。見えないけれど何処にでもいる。今年も農水は減反を、畑への転作を、提唱している。お米が余ると言う事は、ありえないことだ。もし、それでもどうしても余るようなら、足りない国で食べてもらえばいい。田んぼを減らす事だけは、やってはいけないことだ。