開成町露木町長の講演
開成町の露木町長が地方行政会議の委員としての立場から、これからの地方行政のあり方について、講演された。先ず冒頭、先入観を捨てることを強調した。神奈川西部の現状を冷静に分析すれば、人口の減少。経済の減退傾向が顕著であること。税収の減少が予想される。そうした前提で、この地域で行うべき行政改革のあり方を述べられた。さすがによく先を見通している。結果として開成町が、この地域では、違った経過で町づくりが進んでいる。人口減少地域のど真ん中で、人口が増加している。しかも子供の生れる比率は、神奈川県で一番だそうだ。その手柄は自分がというより、過去の町づくりにおいて、地域指定をしたところに要因がある、と言われた。高度成長期の無秩序な、都市近郊の住宅化地域を先例として、地域の秩序ある発展には、計画的な町づくりが不可欠とした所に、その出発があった。農村地域、住宅地域、商業地域、そしてフジフィルムの研究所の誘致。
地方分権改革をめざす、地方行政会議では、2007年11月に中間取りまとめのなかで、「地方政府化」と「道州制」を検討している。課題として、1、税制改革2、地方議会改革3、地方間の格差拡大の調整機能4、都道府県内の合意形成5、市町村合併または市町村連合 5、の市町村連合の発想が興味深い。開成町の成功は、小さな町であればこそだ。1万6000人の町。小学校、中学校、高校はひとつづつ。病院の機能は医院まで、ごみ処理施設は自前のものを持たない。地元の県立吉田島農林高校は、農業者が地域に自前の教育機関を作ろうと1907年に設立された、独自の思想を持った学校で、この地域の農業者の中核を育成してきた。そのことを深く探ると見えてくるのだが、先見の明るい、知性的地域と言う事だろう。地域性を生かすには、小さいほどいい。しかし、広域による施設の共有利用もある。その両者の、有利点を生かす手法が、市町村連合ではないかと見た。
市町村が条例で調整した方が有利な事例を具体的に上げて欲しいといわれた。1、私のかかわる自然養鶏では、食品残渣の利用が重要だ。ところが、食品リサイクル法では、食品残渣の利用は、許可業者に限られている。これが、地方行政の規模で、市町村長の認可で、畜産農業者が、直接食品残渣を扱う事を認めたとしても、その管理は可能だし、合理的に行われる。これが国の方での許可のみでは、本当の飼料利用が増える事はない。2、新規就農者の許可条件があまりに現実離れしている。これを条例で、地域に適合したものにする必要がある。例えば、法ではアルバイトも出来ない。専業のみと言う事だ。しかし、他所の農家を手伝いながら、自立してゆくというのは当たり前の形だ。現実にはそうなっている。それを推奨している行政もある。これも小さな見える範囲で行えば、就農を悪用する、不動産業者など、入り込む余地はない。3、一律のごみの広域処理だ。「生ごみを考えた場合」地域によっては、集めない事が一番有利な選択である場合もある。農村地域では、自分で処理する変わりに、何らかの見返りを作るなど可能だ。ところが、広域処理では、補助金という形で、連続炉、溶融炉、巨大なメタン発生タンク。こうした特定ものを選択させられる。地域の実情に即した、施設を選ぶ事が難しくなっている。
市町村連合は興味深い発想だが、危険要素は不透明化だ。広域連合の組織の財政の監視が甘くなる可能性がある。ごみ処理施設の汚職が頻発する要因のひとつには、市町村の直轄でないためと思われる。連合する有利点は多々ある。例えば、あしがら地域に音楽のホールが欲しい場合、南足柄に作る。それなら、開成町には美術館、小田原には工芸交流館。地域同士が、その特長を生かしながら、競争し、高め合う。無駄使いのできない、地方財政状況だ。市町村合併すると、行政サービスが低下する事は目に見えている。開成には、役所はいらないと言う事も起こり得る。そうしたマイナス要素を取り払い、この地域の潜在的可能性を、存分に引き出す手法が、市町村連合かもしれない。
昨日の自給作業2時間草刈中心 累計時間:26時間