土作り

   

畑や田んぼでは、土作りが大切。これはよく言われるし、何となくはわかっている。所が、案外人によって、良い土と言うものの考え方が異なってくる。私が最も重宝している本に、自然力を生かす「農家の技術早わかり辞典」農文協の別冊で作られたものがある。大変いい本なので、まとめて買って、農の会の農家の人にはプレゼントした。この本でも、土づくりという項目がある。200ページの本の50ページ4分の1が、土づくり関連に配置されている。例えば、海水の項を見る。海水が古くから使われたことや、田んぼに入れることで、トロトロ層が形成される。と書いてある。ではトロトロ層はと、見ると。トロトロ層は有機物が、湛水状態で、発酵分解する事で形成される。浅い代かき、イトミミズの繁殖で発達する。とある。この後も含蓄のある見解が続く。

昨日は田んぼに鶏土を撒いた。28袋を2反5畝に撒いた。このタイミングをいつも見ているのだけれど、ひとっは撒いたら必ず雨が降る事。昨日は午後雨なので、朝から撒いた。もう一つは、冬の間に撒きたいのだけど、生えている緑肥、今年はレンゲ。レンゲの障害にならないで、生育促進になるように。いい頃合いを見る。レンゲが小さすぎると、傷む。レンゲは稲刈り前の10月1日、田んぼに播種した。4ヶ月経過して、寒さに少しいじけながら、そこそこ葉を伸ばしている。レンゲのしっかりした量の生育と言うのも、田んぼによっては難しいものだ。今が頃合いだろう。粗起こしの前に、もう一度鶏土を撒いて、海水を撒いて、粗起こしをする。こんな私の土づくりの考えだが、トロトロ層も現実には安定的なものではない。

正直、こうした試行錯誤を、何回でも短時間で試して見れるなら、いいのだけれど、一年サイクルで、忘れた頃に、又やる訳で、よほどの計画性がなければ、研究が深まらない。溶存酸素量と、水温。これを大変大きな要素と、目をつけている。これにかかわる水深も重大な要素。今年は、田んぼで直に、セル苗づくりを行う。そのために一部だけ、4月半ばには田んぼにする。鶏土も少し厚めに撒く予定。いずれ冬の間に雨が多く。田んぼはいつもぬれた状態。水のつく部分のレンゲは弱っている。明日は、農の会の箱苗研究会だ。箱苗は正直難しい。一度やったが、肥切れになり、黄ばんだ苗になった。田んぼに早めに置けばいいというので置いたけれど、上手く行かなかった。セル苗のほうはそんな問題はない。いい成苗ができる。セルの底の穴から田んぼに根を伸ばし、3葉期以降の生育が順調だ。ほぼ、苗代栽培と同じ経過になる。

有機農業推進法でも、この稲苗の生産は取り組むことが、課題だと思われる。有機稲苗が販売されるようになれば、普通の稲作農家にも、有機稲作の道が開かれる。
以下、私が予定している。セル苗作りを長くなるが記載しておく。

セルトレーの置き場の田んぼの整備
★4月中に水の来る田んぼでないといけない。1月頃、遅くても2月中に田んぼに鶏土を入れる。セルトレーを置く面積を量り、1畝に2体程度。を2回。そして細かく耕運して、ベットを作る。周辺に畦を臨時に作り、水がすぐ貯まるようにする。
セルトレーでの播種法
種蒔きの作業は4月中旬がいいと思う。気候次第で動く。種もみは1週間以上浸種して、一晩冷蔵庫に入れておく。
★200穴から300穴のトレーで作る。今年は100枚やった。100枚で11.340円。2万株あれば、尺角植えで、2反がまかなえる。舟原の来期は2.5反で5万株の予定。数がおかしいように見えるが、舟原では24センチ角植えにしている。
★トレーには山の赤土を入れる。肥料分は全く無くてよい。運んで前処理などはいらない。そのままふるいでふるいながら、トレーに入れればいい。
1、土はトレーの上でフルイで振りながら入れる。ふるえる程度に乾いている事。
2、平らない板切れで土を軽くならす。上から他のトレーで押し込んで、軽く土を凹ます。
3、へこんだセルの穴に、種を3粒前後蒔く。3粒というと、どうしても3粒以上になる。しかし発芽率が、塩水選をしないので、良くて70%と考えて、これで2から3本立ちになる。
4、種蒔きが終わったら、土を更にかぶせ木のヘラで均す。そして軽トラの荷台に積み上げて置く。10段ぐらいに積み上げて問題がない。少し抑えられるので丁度いい。
★時間は5人で5時間で、トレー100枚が蒔き終わった。初めての事で、試行錯誤しながらで、この時間なので、来年は多分短縮できるだろう。テーブル上の作業になる。椅子に座って行うので、時間の割に楽だった。
5、種の撒かれたトレーは水の来る田んぼに並べておく。大切なのが、田んぼの土の準備だ。ここが良く出来ていないと、いい苗が出来ない。田んぼの土には、冬の間によく発酵している養鶏場の床(鶏糞ではない)を均一に蒔いておく。量は1畝で50キロ。を2回。田んぼの他の部分よりは多く蒔く。
6、トレーを並べるベットを作る。土の乾いた日に細かく耕運する。ベット状態に地面を一段上げ、水平が取れるように準備する。水糸がないと出来ない。この点では今までと同じ。
7、周辺に水路で回し、水遣りの為、水位の上げ下げが自由に出来るようにする。
8、ベットの土に、めり込むようにトレーを並べる。ただ置くのでなく。全体を覆う板をかぶせ体重をかけ、めり込ませる。土と完全に密着させる。密着していないセルトレーは水を吸い上げないので、土の乾いた色でわかるので、再度密着するように圧力をかける。
9、並べた上にはすずめが来ないように、ネットを張る。ネットを張らず、パオパオなどをかぶせて、保温を兼ねて行うのもいい。ビニールもこまめに管理できるならいいと思う。
10、発芽したら不織布に芽が絡まない内にとるか、最初から両側に棒を並べ、浮かせる。いずれ取るタイミングはスズメと相談。
11、水は、朝晩水路に入れて、水やりを行う感じで発芽させる。初期は田んぼの水が冷たいので、温める形で水路を迂回させ、水を貯めて暖めてから入るようにするのが良い。
12、セルの下の穴から、田んぼの土に根は伸びてゆく。出来れば、5葉期まで置いて、田植えをしたい。その為には種蒔きは6月1週の田植えで、4月第2週か3週に成る。

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