2、 久野の自然環境の概要

   

本来この項目は専門家に調査を依頼し、策定すべき内容であるが、私見として暫定的なものを、書き留める。この項目は暫定的なものである。あまりに内容不足であるが、メモ程度として。

久野は箱根外輪山東山麓が、足柄平野に開ける付近に位置する。豊かで大きな山麓に育まれた、きわめて多様で豊かな自然環境の場所であった。明星ヶ岳標高924メートルを頂として、幾つかの沢を集め、中央に久野川が流れ、その風光は上流部の深山的様相から、開けた海への展望と、魅力的なものがある。農業的視野から見れば、平野部は少ないものの、通年の営農が可能である、恵まれた地域である。年降水量は2000ミリ程度。年平均気温15.5度程度。日照時間が年間2000時間近くと。降雪はほとんどなく、雪に埋もれるような事はほぼない。台風などの影響も、富士山や伊豆半島の存在で、直接の被害は少ない。

その山麓の多くは現状杉檜の植林地になっているが、近年自然植生の復活なども、行われて部分的には自然樹相も存在する。最上部は富士箱根伊豆国立公園に含まれ、手付かずの自然地域も存在する。明星岳山頂周辺は箱根独特の低層樹林になり、ヤマボウシ・ヒメシャラ・マメザクラ・サンショウバラ・ケヤキ・オオモミジ・イヌツゲ・シラキ。草花ではセンブリ、やまゆり、ほととぎす、・・・・。里地に近づくにしたがって、しいや榎、赤目がしわなどの温帯的樹相部分もある。江戸時代から、標高300メートル辺りまでは畑が開かれてきたと思われる。平地は少ない所から、大規模農業は行われず。100アール程度の畑が分散している。大半は丘陵からの傾斜地に存在し、傾斜地農業を特徴としている。わずかに存在する、久野川の河岸に水田が広がるが、大半が自家米の生産となっている。

中央に流れる久野川の存在は歴史的に見ると、地域住民の暮らしと密接に結びつき、江戸期以来水車が多数運転されてきた。舟原には5機あったと聞いているが、今後流域全体を調査する必要があるだろう。通年の箱根山塊よりの豊かな水量が存在する。豊かなで良質な水が、久野の里地里山の豊かさで大きな要素と思われる。途中から流入する、何十かの湧き水、沢水も良水として、水を資源とする酒造業や、サイダー工場がかつてはできるほどであった。現在でも沢水を生活水として利用する家も存在する。久野川の水は生活水として、各家に水路として廻り、また、水田の灌漑水として、利用されてきた。

大きな自然林は標高の高い地域だけになったが、小さな自然林はまだところどころ存在する。現状ではそうした自然林が、竹林に占拠され始め、全体では美しい里地里山的林が存在するとことは少なくなった。しかし、ある程度の管理の手を加えることで、自然林が再生できる所も多く存在し、又、地域住民のそうした要望も強い。草本植物は、近年外来種が目立つようになったが、ササバギンラン、キンラン、コクランなど蘭科植物も道端に散見される。
動物の概要、イノシシや猿、タヌキ、ハクビシン、などが、時おり畑を荒らし、害獣駆除が行われている。特に山辺の畑では被害が目立ち、耕作の意欲をそぐ、原因となっている。魚類では以前は山女の固有種が存在したが、現在の山女は放流魚と交雑していると言われている。しかし、田んぼにはまだ山女の稚魚が流れ込んでくる。ほたるはかなりの部分で存在し、豊かな水環境を感じさせるものがある。沢蟹はむすうにそんざいし、モズクガニも時折田んぼに現われる。鳥はオオタカや隼、の鷹類は多いい。

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