新テロ対策特別措置法案可決
新テロ対策特別措置法案が衆議院で、逆転可決となった。あっけない結果だった。別に国会で乱闘をやってくれと言うのではないが、民主党と言う政党の、実態を窺わす結論になった。あの小沢退陣騒動で思わずもらした、政党としてのまだ実力のない民主党だ。と言う分析どおりの結果だった。建前では対立点があるように見せているが、自民党にしても、民主党にしても、思想が欠落している。思想と言うような面倒くさいことを持ち出すことが嫌われる政治的状況を作り出しているとでも言うのだろうか。インド洋給油も、何が問題なのか。本当のイデオロギー的議論など、全くなかった。あったのは国連主義云々程度の事だ。日本の経済的主権を守ると言う根では、違いはない。方法論で、若干差異がある。こんな政治状況にしたのは、日本人の政治的感性の問題ではないだろうか。
経済第一主義は、何処をとってもそうなのだが、テロ対策とは一体何か。今度派遣される自衛隊の幹部の発言に、「この日本が派遣されていない、3ヶ月に大きなテロがなくて良かった。もしこの間にテロがあれば、世界から日本批判が起きただろう。」こういうものがあった。何という世界情勢の分析力のなさ。現場の幹部ではしょうがないかもしれないが、日本が批判される事は、全くない。あり得ない。それほど日本はテロ抑止に重要な任務をしている訳ではない。お金だけ出すじゃ駄目。それじゃ、出来るのは給油活動。「アメリカ支持を態度に出そうよ。」と言う事。当たり前だが、テロが起きた原因が、日本の給油の停止にあるなど、思いも寄らない、桶屋の火事だ。自衛隊の思い上がりもいいところ。こんな馬鹿馬鹿しい扱いに耐えろと言う命令だから、自衛隊員の自殺は多い。
この日本の政治の停滞中、中東では、この給油の一番の焦点である。パキスタンでブット氏の暗殺があった。(大きなテロだったんじゃない。日本の給油停止が批判されたか。)ムシャラフ大統領に対するアメリカの態度を見れば、今起きているテロ対策のアメリカの本音が良く判る。パキスタン政府はすぐさま、アルカイダの犯行だ。と声明を出した。濡れ衣と言う事がすぐに判明。ムシャラフ大統領はテロ対策に協力すると言う姿勢を取る事で、滅茶苦茶な軍事政権でありながら、北朝鮮以上に問題ある、原子爆弾保有を強引に行ったにもかかわらず。何の批判もされず、アメリカから莫大な援助を受けて、軍事政権を維持している。その支援を日本もこの新テロ特措法で行うことになる。中東の状況は複雑そのもの。アメリカは明確に利権で行動しているから判りやすい。
日本はどんな理念で、中東でテロ対策を行っているのか。ムシャラフ軍事政権の原爆容認でいいのか。こうした肝心の事を、国会では議論しない。アルカイダとムシャラフ政権は何処が違うというのか。私にはアルカイダ以上に、世界の危機を高めていると思う。北朝鮮以上だ。確かにお金を貰い、支持をしてもらうアメリカには、テロを行わない。今北朝鮮対応もこのやり方に変えてきている。こうしたやり方で日本もいいのか。アメリカのこうした世界戦略は、アメリカ一国有利に進め様と言う事だ。これは中南米の政治状況を見れば、破綻が始まっている。日本は尻馬に上手く乗ろうと言う事だろうが、何時までもそうはいかない。ムシャラフの横暴が、更なる爆発を起こす可能性は高い。テロ対策が、実は軍事政権維持に使われている現状のままで言い訳がない。