飼料米の助成金

   

米価がやっと上がってきた。政府が備蓄米として34万トン買い付けることを発表したことが大きい。更に昨年度の売れ残りから、10万トン飼料米として買い付けることになった。米価が戻したといっても、実は問題の先送りで、抜本的解決には程遠い。こう言うその場限りの事を、いつまで続けるのだろう。米の政府の買取とか、生産調整がなくなって以来、迷走を続けている。お米は作れば必ず政府が買い取ってくれる作物だった。1961年に出来た。農業基本法がスタートになっている。経済が著しい成長つづける。農業からの労働力流出が起こる。経営規模は拡大し、消費が拡大すると見込まれた畜産、果樹等に農業生産をシフトさせることが想定された。所が米価は農家の所得保障の色合いを持った。労働力不足は機械化で補われ、生産コストは一気に上がった。自民農政は農村部の票田を守る為、無策に米価を上げ続けた。

米価が上がる変わりに、生産調整が進められる。あの最悪の減反政策だ。旧来の農村社会のしがらみに乗せて、減反を強制させる。米作りが誇りのもてない仕事になる。しかし、米価の補償は都会消費者から強い反発が起きる。結果、政府買取補償も無くなり、米価下がり続ける。何処まで行っても、農業の基本的なワク組みが出来ない。今の発想では、国際価格との遊離が根本にあり、解決不能。輸入飼料穀物価格はキロ40円程度。日本のお米はキロ200円以上。この価格差をどう埋めるのか。小泉元首相は、一個3000円で売れるりんごを作ることが、日本農業の国際競争力だと言っていた。上海で6000円の日本米を売ろうという話は、どこへ行ったのだろう。

飼料米については、もう10年は繰り返されている話だ。事例も増えてきてはいる。しかし、今のところは、自給率の向上につながるとか、水田の放棄地の解消につながるまでは進んでいない。当然だ。今年度の10万トンの飼料米買い付けは、2006年産米の売れ残りで、購入と売却価格の差損約100億円。国と全国農業協同組合連合会(全農)が折半する、らしい。差損額はキロ100円。飼料米で使えるのはキロ40円。差損の方が大きくキロ140円のお米。10キロ1400円のお米はどこにあるのだろう。この辺がいつもわからない。飼料米の実態は、大規模転作奨励金とか、集団営農の補助とか、様々な公布金がかかわっている筈だ。誰でも気軽に取り組めるようなものではない。専門家でも居なければ手続きの煩雑さで、農家には全く無理。更に転用防止の処置がまたややこしい。鶏用が、人用にならないように、牡蠣ガラを混ぜてしまう。

輸入価格との関連の中で、農業の事を考えてもダメなのだ。食料は自給すれば、簡単に解決する。人の数だけ、自分で鶏を飼えばいい。4人家族が、4羽の鶏を飼うのに、わざわざ飼料を作る必要などない。その辺の草やら、余った残飯をやれば、充分育つ。生ごみも無くなる。暮らしを変えることだ。そこを抜きに農業政策を考えるから、どんどんおかしくなってしまった。国は自給の暮らしが可能になる。社会体制を作る。土地や税の制度を変える。方向付けさえしっかりしておけば、いつかそこに行き着かざる得ないような、仕組みにする。簡単に言えないことは承知しているが、例えば、300坪の土地に家を建て、自給農業を行う場合。一定の要件の農地なら可能にする。農地価格は宅地価格の10分の一だから、住宅取得に有利になる、条件は作れるはずだ。農業の大規模化と、小規模化を平行して進めることではないだろうか。

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