テロとは何か
アメリカは北朝鮮をテロ国家の指定からはずそうとしている。日本人拉致への配慮で、日本政府と調整を続けているようだ。終了したインド洋での給油支援はテロ特措法と言う事で、テロ集団、名目はアルカイダに対してアメリカおよびその周辺国が、攻撃を加えるためとなっている。では、テロとは何か。この定義は重要な事になる。アメリカ政府のテロの定義と言えば、青山貞一氏によると、明確でないらしい。元国務長官のジヨージ・シュルツは「テロリズムとは、わたしたちがテロリズムと呼んでいる現代の野蛮行為である」「テロリズムとは、政治的暴力の一形態である」「テロリズムとは、西洋文明に対する脅威である」「テロリズムとは、西洋の道徳的諸価値に対する恫喝である」このように言っているそうだ。何を意味しているか、意味不明。
アメリカが、圧倒的軍事力によってアメリカの考えている方向に、諸国を力ずくで導こうと言うのは、シュルツの言う定義そのままのように見える。北朝鮮が原子爆弾の開発を止めた、姿勢を見せる。それでテロ国家ではなくなる。と言う所が、アメリカの考える、実際的テロ対策の意味合いなのだろう。それなら、原子爆弾を所有し、世界を恫喝する、アメリカはテロ国家となりやしないか。原子爆弾保有のパキスタンのムシャラフ大統領が、非常事態宣言を行った。対抗してチョードリ最高裁長官は非常事態宣言を「違法」とし、すべての公務員と軍人に対して宣言に従わないよう命令した。という。最高裁でムシャラフ大統領の大領領選挙での立候補資格に、否定的な判決が間もなく下る。もう一つは、亡命9年目になるブット元首相が、ムシャラフ政権に協力を前提に帰国した日に、爆弾で襲われ、今はドバイに戻った事件がある。
ムシャラフ氏はアメリカの掲げるテロ戦争に、協力の姿勢を見せる事で、自らの独裁政権を強化して来た。タリバンの攻撃に対する弾圧と言う事もある。また、ブット元首相の選挙運動の成り行きも、非常事態宣言は影響している。当然イラク、アフガニスタンでの戦争の激化も影響している。一体この地域で起きている事は、テロとの戦いと言う正義はすでに、否、初めから成立していなかったのではないか。テロ、の本来的意味は、「弱者が権力者に対し、政治主張のため暴力的行為を通して、主張を行う」事を意味する。問題は9,11アメリカの同時多発爆破。無差別に民間人を攻撃する事で、その社会を混乱させる。その背景にあるのが、アメリカの主張するグローバリズムに名を借りた、世界支配構想。ブッシュが当時発言したとおり「新しい形の戦争」と言う方が、正確だ。
「テロ」と全ての紛争を、総括してしまう。曖昧さは止めなければならない。一般ごみを、家庭ごみと、摩り替えた同根の思想がある。一部を取り上げて全体を総称する。そのことで、本来その枠外だったものまでが、いつの間にか、テロと言う概念に入り込む。いまやアメリカの使うテロ国家と言う。本来この語の由来からすればありえない枠組みさえ、当たり前になった。これはアメリカが、自らの利権で行う行為を、あえて正義の戦いにイメージ化するために利用している。その言いなりである日本は、テロの意味を吟味することなく。アルカイーダを捕まえる為、のはずの作戦に、延々と協力させられた。テロは弱者の政治的主張である。テロを無くすには、弱者が暴力的にでなく、正当に主張できる社会的整備を行う事が、唯一の、又当然の道である。