米価下落と市場原理

   

60キロ13700円であきたこまち。これが今年の落札価格の一つと言う。60キロで数えるのは1俵という昔ながらのお米の単位。7俵取れた。などと農家では言うが。これは1反で、つまり、1000平米で420キロの玄米が取れたことを意味する。普通は精米するので、更に7%程度は減る。ともかく低価格だ。1キロ228円だ。100グラム、一食分として、23円だ。燃料費はいるにしても、ご飯は安い。こんなに安いものを作ると言う事は、作っている人のどこかに無理が行っている。それでも、生産量は減らない。ここを良く考えておく必要がある。お米は不作だと当然高くなる。23000円ぐらい迄上がったことがある。それでも、一食分38円だ。と言ってもこれは農家の出荷価格。相当に安いお米でも10キロ3千何がしかはしている。

大体は流通経費などは値上がりしているから。今年の安値でも10キロ4000円あきたこまち。と言うあたりが店頭販売価格。いずれ、1食。50円ぐらいがご飯代。では作る側から言えばどうなるか。労賃を入れないで、1キロ100円。一年分のお米を作るのに、どの位時間が掛かるかといえば、100時間は、農の会の手作業中心でもかからない。時間800円なら、8万円。100キロのお米が合計9万円となる。つまり、キロ900円これが、労賃まで入れた、農の会のお米の原価だ。それでも、1食100円にはならない。と計算して見たが、自給の生産物には価格はない。だからどうと言う事ではないが。100時間も農作業を出来たから、それは楽しんだと言うことになる。それはまた別なこと。合理的経営農家ではお米は割に合わないから作らない。

お米は需要を越えて生産されている。そこで政府は備蓄米の買い入れで米価の下支えをしようとしている。果たしてこれが出来るかどうか。たぶん無理だろう。この備蓄米と言うのも財政圧迫のなかで、米が高くなると、主食用に放出される。保管費用もすごい。さらに、輸入米の在庫を175万トン抱え、保管費用も年間170億円。政府が備蓄米として買い上げようと言うのは20万トン程度。日本の米の生産量はおおよそ1000万トン。余剰分はたぶん20万トン以上。平年作でこうしたことが起きる。これは減反政策が上手く機能しないことによる。政府主導の減反より市場原理に任せて、米の生産を減らそうとしながら、上手く機能しない。米生産は市場原理に適合しない要素が、たぶんにある。米の生産農家は安定志向農家だ。

今年出発した、集落営農や大規模認定農家は大打撃だ。政府の農業政策の反対の事をやればいい。農家の人はこんなことを言う。それぐらい農業政策は失敗続きなのだ。今回も大規模化して、作業者には給与が出る。これは変わらない。販売価格は大きく下がる。しかも、機械の購入、施設の新設がかさんでいる。これでは明らかに、行き詰まる。政府が無理強情にやれと言うので、不承不承やって、又失敗だ。この責任は誰が取ることになるのだろう。基本的な食料、特にお米は市場原理ではいけない。国は国民の食料を確保する責任がある。それは、農家がぼろ儲けできるようでもいけないし。継続出来ないようでもいけない。ましてグローバル化の波、なぞと海外からの圧力など、とんでもない。これは国防費を止めても確保しなければいけない、重要な国の経営だ。備蓄米を100トンとはいわず。200トンぐらいはせめて確保しなくてはならない。それで食糧援助を行えば良い。

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