教科書検定は,どのように行われるか。

   

検定委員は教科用図書検定調査審議会委員30名と臨時委員100名いる。大学教授が大多数を占める。高校、中学の校長が10名ほど。後は学芸員、弁護士、作家、公認会計士、小学校長、評論家、会社監査役、各一名。文科省のホームページでは詳しいことは分からないが、それらしい所をさがすと。「日本史」では、近現代史を中心として、現在の学説状況や事実関係に即した適切なものに修正を求めました。「現代社会」では、政治制度や国内外の政治状況について、また経済の基礎概念やわが国の経済制度について、さらに今日論議されているさまざまな倫理的な課題について、扱いの適切性、記述の正確性などに欠陥のあると認められるものについては修正されました。等と書かれている。

教科ごとの10の部会に分かれているようだ。申請のない教科では部会がない。問題の社会科は第2分会となる。審議委員は揚村 洋一郎(東京都立三田高等学校長)太田 公(杉並学院高等学校教諭)紀平 英作(京都大学大学院教授)小室 正紀(慶応義塾大学教授)杉本 良男(国立民族学博物館教授)栖原 弥生(愛知県立大学名誉教授)高橋 文博(岡山大学教授)谷 聖美(岡山大学教授)羽入 佐和子(お茶の水女子大学教授)広瀬 順皓(駿河台大学教授)廣部 和也(成蹊大学教授)二木 謙一(國學院大学教授)宮地 忠明(国立音楽大学教授)村木 逸子(嘱託:都立鷺宮高校)山本 孝宏(弁護士)山田 卓生(日本大学教授)渡辺 真知子(明海大学教授)という方々だ。正直どなたがどのような思想をお持ちかは知らないが。沖縄の集団自決に対して、どんな考えをお持ちなのか。是非明確に示して欲しい。テレビ報道では文部省の方から案が示されて、特段の議論は無く。審議が進んだといわれている方が居る。そんな無責任な事でいいのだろうか。この方々は、等しく全員が今回の審議に責任を持たなければならない。

本年度は審議会を合計31回(小委員会30回、部会1回)開催した。小泉内閣以来、審議会方式というか、官邸主導というらしいが、安倍内閣は今までに無く、そうした政府審議会を作ったらしい。識者の意見と言いながら、自分考えを、審議をする方式が目立つ。集団自衛権についても、このような方式で、憲法の枠内で可能という答申を得るために、審議させていたようだ。常にこの審議会方式には怪しい所がある。第2東名の問題でたどっていったら、審議会にたどり着いた。こんな馬鹿なことを決めたのは、どこの誰だ、名前を教えろ。と言ったら、直接抗議されても困るので、教えられないなどと、当時建設省の担当は答えていた。

今回の問題では沖縄の住民の気持ちをおもんばかって、教科書を更に訂正する方向ですすめる。政府および文部大臣の発言だ。これはあってはならないことだ。まるで、原案を書いたのも、審議会を間違った方向で主導したのも、文部省だったと白状しているようなものだ。審議会は形式だから、政府の考えが変われば、何とでもできる。こうならないか。教科書審議会で、どのような議論になるのか。公開して話し合って欲しい。歴史的事実は、不都合でも事実だ。時の権力者がどう判断しようが、変わるものではない。同時に住民がどうに悲しもうが変わらない。真実を明確にするしか道はない。

余談になるが、淀井彩子さんが検定委員に居た。なかなかいい絵を描く人で、庭の眺めをいろいろ描かれていたのが、興味深かった。今は青山学院女子短期大学教授という肩書きだった。大学で教えるようなタイプの人ではないと思っていたので、ちょっと驚いた。

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