ミツバチの失踪
以前もアメリカで、ミツバチが突然いなくなる話を書いた。その後、少しずつ、様子がわかってきた。面白いのはその推測の展開だ。
1) 「過剰なノルマがハチに与えるストレス」
2) 「農薬の影響」
3) 「ハチの免疫系を破壊する疾病」
4) 「寄生性の病原菌」
5) 「作物の単一栽培」
6) 「農薬使用」
7) 「栄養不足」
8) 「天敵となる他の昆虫の存在」
9) 「遺伝子組み換え作物}
10)「免疫不全」を招く「ハチのエイズ」
11)「吸血性の寄生ダニであるヴァロラダニ ( Varroa destructor ) 」
12)「イスラエル急性麻痺ウイルス」(IAPV)
13)「オーストラリア産ミツバチを移入」
14)「免疫機構の弱体化」
15)「携帯電話の電磁波」
4300の巣箱のうち2400箱を失ったニューヨーク州ハムリンの養蜂家ジム・ドーアンさんは「ミツバチの失踪CCDが広がり続けると、農産物の海外依存度が100%になってしまう。とても容認できない」これこそアメリカ人。一方日本では、椎葉村で昨春から秋にかけ、飼育されていた600-700のニホンミツバチの群れ(約2万匹で一群れを構成)の8割ほどが失踪した。同じ事が、宮城からも報告されている。椎葉村全体でも、700箱、それが何と、アメリカでは一人の養蜂業者が4300箱、そして何と言う事か、農産物の海外依存を心配している。椎葉村で起きるようなことは、たぶん自然界では繰り返し起きて入る事。関連して考えると間違った所に行く。
昆虫は環境的な生き物だ。気温一度の変化で、影響を受ける。あらゆる環境バランスの中で反応している訳だから、人間より先に環境の影響を受けたのだろう。生き物を人間が家畜化する。これには、限度がある。ミツバチで言えば、一見の農家が、飼う数はせいぜい50箱までだろう。出来れば、一軒が1箱づつ飼う。そんな飼い方がいい。鶏を長年飼ってきて、家畜の自然負荷を考えるとそうなる。どの位自然界に溶けこむように飼えるのか。先日、中国で見た放し飼いは一ヘクタールに100羽程度のバランスだ。そうなると、地面にも殆ど鶏のいる、痕跡が残らない。一箇所に一定以上の生き物が、存在すると言うことだけで、リスクが増加してゆくのは、当然だろう。アメリカ的な大量生産、大量消費の思想が、ミツバチの失踪の根本原因だと思う。
まさに複合汚染であって、どれもが絡み合っている。遺伝子組み換え作物の花粉や蜜を集めるのでは、耐虫性の遺伝子など組み込まれているのだから、すぐ死ぬのではないにしても、そんな蜜を長い事集めてられないだろう。それが自分たちの将来をなくするものであることは判るはずだ。ハタラキバチは失踪できるけれど、普通の人間はそう簡単に持ち場を放棄できない。何か身につまされるものがあるから、話題になるのだろう。これが蟻の失踪なら、不気味だけれど、話題沸騰と言う事はないだろう。残された女王蜂と幼虫は、たちまち死に絶える。しかし、逃げた蜂の方も、どこか空の彼方に飛び続けてシジホスのように、羽を焼かれて、墜落する。迷走飛行はまさに地球だ。不時着地点を見つけて、軟着陸しない事には、撃墜大爆発と成って終わるのだろう。