台風9号小田原上陸
キテーィ台風と同じコース、同じ大きさと言う事で心配していた。キテーィ台風は小田原直撃で被害は相当にあったらしい。古いフィルムが放映されたりした。古い小田原の様子が写され、むしろそっちの方に関心がいった。私の生まれた1949年の事だ。西湘バイパスがない。道路のない広がった砂浜は、なんとも美しい。
明るくなるのを待って、舟原を一回りしてきた。田んぼも養鶏場も特に被害は無かった。久野川も水位は上がっているが、氾濫するほどではない。7月4日の大雨に較べれば、小田原の雨はたいしたことは無かった。箱根では記録的な雨量で、累計雨量が500ミリを越えた箇所が出ている。この雨が、一気に久野川を下るのだから、川の増水が心配だったが、やはり、平野部の雨が少なかったのが幸いして、無事だった。7月4日のときに土砂崩れがあって、まだ修復途中の場所が再度崩れるかと心配したが、これもなんでもなかった。被害状況としては、家の花梨の木が根本から倒れた。木に虫が入って弱っていた事もあり、切ってしまおうかと考えていたので、これはむしろ幸いだった。しかも上手い具合に何もない方向に倒れてくれた。春に植えた、11本の枇杷の木は、びくともしていない。
養鶏場に行く途中で、直径30センチぐらいの桐の木が、これまた根こそぎ倒れていた。むき出しになった根の様子だと、弱っていたのかもしれない。竹が道路を塞いでいる所は、2箇所だ。竹が道路側にしなだれてくるのは、風のせいもあるが、管理が充分できないからだ。ビックリしたのは養鶏場のビニールが空けたままだったことだ。閉めたと思っていたのだが、あけたままだった。しかし、少しも被害は無かったので、案外開け放していたことが良かったか。ビニールハウスは案外そう言う事がある。ビニールを切ってしまい、骨組みだけを助けると言う事もある。風下側を空けておき、ハウスを救ったと言う話も聞いている。伊豆の方では瞬間風速が50メートルを越えているけれど、小田原まで来た時には風は、30メートルそこそこではなかろうか。小田原は台風には守られた町なのだ。伊豆半島と箱根のお陰だ。大体の風はこの屏風でさえぎられる。
それでも田んぼの被害は相当にあるはずだ。晩生を植えているところはまだ大丈夫だが、早稲のキヌヒカリは、そろそろ刈り頃と言うところでの風と雨だ。倒伏しているに違いない。私たちの田んぼはたぶん倒れていないと思う。「倒れるほど実っていない」といつも冗談に言うが、最後まで下葉が枯れない状態なのだ。1本から分結して拾何本になっているので、茎が太いいこともある。根張りも普通の田んぼよりしっかりしている。一般に、稲刈り時点では稲は枯れてきている。だから余分な分結もない。ところが、自然農法の手植えでやると、いつまでも葉に緑が残り、刈り取った後も、ひこばえがたくさん出てくる稲だ。バインダーで刈り取る為には倒伏したらまずい。実に刈りにくいことになる。コンバインで刈るのを見ていると、案外に倒れてもなんでもないようだ。手で刈れば、これもまた関係がない。要するに、バインダーと言う小さな機械で刈る我々のやり方では、倒れることは厳禁だ。窓の外の風も収まってきている。一先ず、9号台風は乗り切った。