若林農林水産大臣の就任
あれこれあった上で、環境相と兼任を最近行っていた、若林正俊氏が、農水大臣に復帰した。元農水省の農地課長、農政課長、をされた方だ。そして、退職して、長野県の衆議院議員になる。落選して、参議院議員に鞍替え。農水省出身ではあるが、自民党のもろ農政議員ではないように思う。恥ずかしながら、遠藤氏に期待をしていた。現場を熟知している遠藤氏が、民主党の出してくるという、戸別農家保障の不思議な制度に対して、どんな対応をするか興味を持っていた。現場的に有効かどうか、分かったと思う。若林氏の、就任の記者会見を読むと、いかにも官僚的な巧みな意味を余りなさない、無難で多弁。兼任中、農業交渉で中国に行っている。例の、日本の米が中国で高く売れるから、もっと買ってくれという話もしてきている。
自給率を少しでも上げる事が、当面の農政のめざすところ。このことに異論がある人はまずいない。中国にわずかな米を売るために、どのくらいの中国農産物の輸入が行わなければならないか。中国野菜にどれくらい日本の農家が、圧迫されているか。全体で見れば、これも自給率を下げる、大きな要因となるだろう。この自給率問題について、農地法、農地にかかわる税の仕組みについて、著書もある若林氏だ。企業の農地利用問題に何か主張があるのかと期待していたが、通り一遍の当たり障りない官僚のような発言のみ。企業参入に関する農地法改正について、発言はない。若林氏は食生活と言う事を、強調されている。油をたくさん使う問題。野菜を食べない問題。確かにそうなのだが、消費者の食生活問題を中心に議論をすると、今置かれた農業の問題が、見えにくくなる。そう、多分見えにくくするのが上手いのだろう。
農業者は生産の場が、生活の場だ。小規模農業者を守る事が、中山間地域社会を維持する、絶対条件だ。これは日本と言う社会全体のバランスをとるために必要なことだ。採算が合わないからと言って止められない、人達だ。企業ならやめている状況だ。これは、機械化の出来ない、企業が参入しようとも、国際競争力は絶対にない地域だ。大型化し、育成された有能な担い手、あるいは企業が、参入して、競争力のある農産物が作れる所は、日本と言う国土の現状では、限定されている。だから日本の農業政策と言えば、実は、極めて不利条件の農業の事を問題にせざる得ない。これは農業補助金の問題でもない。社会保障の問題だろう。今の自民党の、農地集積型の施策には、当てはまらない、人達。
切捨てといわれる現状。格差につながる、問題。競争を強めて、能力主義で行くとすれば、農業のように自然条件によって、初めから競争力に差がある所を、どのようにホローしてゆくか。長野県の若林氏はこのことは充分理解されているはずだ。再チャレンジしようにも、方法がない。何百年の蓄積を食い潰しているのが、中山間地の現状だ。農業は補助金が多いい事が、問題になっている。補助金も大規模化しろ、機械化しろ、そうすれば補助金が出る。こういう方向だ。補助金など辞めたほうがいい。同時に食糧輸入も止める。そうすれば、国内の農業は一辺に盛んになる。食品は高くなるだろうが、それが本来の価格なのだ。食料は自由貿易をするようなものでないことを、改めて真剣に考えて欲しい。今の日本はそういう地点にいると思う。