農相に遠藤武彦氏
農相に遠藤武彦氏がなった。米沢の方らしい。「これだけはこないほうがいいくらい」と言う新任会見で、ビックリさせた。しかし、経歴を見れば、他のポストなら来て欲しくても来なかった人だろう。たたき上げ、地方農業族代表のような人だ。地方農政重視そのものだ。「市場開放を最小限にとどめる。」これを第一の農業政策に掲げている人だ。たぶんこれだけ具体的に農業政策を上げている議員は他には居なかっただろう。気が付いていなかった。所がこの農業政策論が、まるで自民党我田引水論で、小泉から安倍政権も受け継いだ、新農政の精神をまるで無視している。この辺の2面性が、今後どんな乖離をもたらすのだろうか。
遠藤氏のような、地方の農業関係者は多い。たぶん殆どだ。しかし、この遠藤氏が大いに押した、参議院選挙の自民党候補は大差で敗北している訳だ。当の山形の米沢の支持基盤ですら、遠藤氏の農業政策を支持しなかった。従来の農業政策では、駄目だと言う、憤慨の悲鳴が、満ち満ちているはずだ。地元向きの建前では鉢巻をして、「WTO・EPA・FTAなど、農産物の市場開放を最小限にとどめる。」など言っているのだ。そのようにホームページに書いてある。しかし、農業基本政策小委員会 委員長としては、そんな発言はしていないはずだ。そんな発言をしているなら、あんな自民党の農業基本政策にならないだろうし、遠藤氏が農水大臣にもならないだろう。
バイオエタノールの製造支援、えさ米への転換、中国・台湾などへの輸出の拡大支援。これが遠藤氏の農業政策です。何と物足りない発想でしょう。24日答申のあった、株式会社の農地利用の自由化について、遠藤氏はどう考えているかも聞きたい。遠藤氏なら、日本農業の行く末が、どの位困難かよくよく知っているはずだ。その方策が、「バイオエタノールの製造支援、えさ米への転換、中国・台湾などへの輸出の拡大支援」しか思いつかない。現場を知っているだけに、具体的展望が持てないのが本音だろう。だから、このポストだけは来て欲しくなかったと言う事か。今までの嘘がバレル。
バイオエタノールが日本の農業の可能性になると、もし本気で考えているなら、恐ろしい農水大臣だ。今、日本農業の第一目標は「自給率の向上」だ。ついに40%を切った。しかも、上昇させる手段が打ち出せない。バイオエタノールなど農水が支援すれば、更に自給率が下がる。日本の農地で、バイオエタノールなど生産しても、全くコスト的にも無理だ。もし、企業が「政府の補助金」があるからというので、優良農地で、バイオエタノールの生産でも始めたら、これは恐ろしいことになる。せめて、これだけはやらないで欲しい。
現在すぐにでも農業可能な土地の10%が耕作されていない。もしこの土地で有効に農業が行われるなら、自給率は間違いなく、向上する。問題は、担い手だ。農業の未来が明るく、分かり易く展望できるようにすることが、政府のやることだ。既得権の擁護だけでは駄目なのだ。