農地の貸借

   

企業の農地借用、来年度にも自由化…戦後農政を転換へ:農林水産省は22日、企業の農業参入を促進するため、株式会社などによる農地の借り入れ制限を原則撤廃する方向で検討に入った。指定区域の条件を撤廃し、優良農地の貸し出しも認める。また、企業が安定して農業経営をできるように、農地を20年程度の長期にわたって借りられる定期借地権制度も導入する。企業が借りている農地の面積は595ヘクタールと全農地の0・01%程度に過ぎず、制度活用が課題となっていた。読売新聞
こうしたニュースというのは、どこから取材するのだろう。農水省の記者発表にはない情報だ。他の報道機関も触れていない。第4回農地政策に関する有識者会議・第8回専門部会が8月24日に開かれるというから、ここでの資料がもれて来ているのだろうか。有識者会議で何でも決める方式。これもいいのかどうか。小田原市行政のように、有識者会議も無くて、担当の係りレベルで、決めてしまうというよりはましか。

農水省では「食糧安保課」を新設するという。自給率低下に危機感が高まっている。今のままで、今の農業政策で、自給率が向上するなど、誰も考えていない。その意味でも企業が農業に参入する。そのこと自体は悪い事ではない。先に行き詰まった林業は、更に深刻な事態となっているらしい。林業家が山を持ちこたえられなくなっていて、そうした土地を企業が購入してくれるらしい。大きな林業家はそもそも企業であって、別段珍しいことではないが、林業以外からの参入と言う事が始まっていると言う。お金が余っている所には余っている。良く理解できないのは企業がと言う事は、株式会社と言う事で、個人ではない。個人は駄目で、株式会社なら、許されるという、法的な平等性の根拠はあるのだろうか。

企業が農地を借りて、例えば農業以外の目的に使用してしまった場合。よくある例としては、残土置き場や、作業施設。そして、その企業が倒産してしまう場合。後処理は出来るのだろうか。産廃業者の倒産。先日、銚子での産廃業者に対する、県の許可が、経営できる財政力がないという事で、業者敗訴の判決が出た。銀行ですら、貸付の焦げ付きがあるぐらいだ。県の担当部署に、企業の経営状態までも審査する能力はない。企業でも大企業なら安心として。大企業なら日本で農業はやらない。ベトナムとかを選択するだろう。日本で農業をするだろう企業は、本業に冬中心のムラのある業種と言う事か。そもそも、企業が農業法人資格を取得することは可能だ。それではいけない理由は何かあるのだろうか。

こうした企業の進出の背景に、農地を農業以外の利用に道を開こうという流れを感じる。例えば、バイオエタノール。食糧生産ではなく工業生産と考えるべき内容。日本の農地で行うべきでない事業。今回の有識者の考えは、定期借地権と言う事らしい。農地の定期借地権というと、まるで、中国の土地の企業利用に道を開いた方式のと同じだ。借地と言いながらも、売買の別方式というほうが正しい。小田原市では駅前の所有の土地を、企業に定期借地権で貸し出す。そこに企業がビルを建てる。そのビルを企業は証券化して販売するという。同じような事が農地でも起きないか。農地を投資の材料に転換してしまう。もっと率直に考えれば、これが第一段階で、農家側で企業所有に慣れた所で、土地の企業購入に道を開くと言う事になるだろう。

 - あしがら農の会