田園居住

   

田園居住は言われだして、もう20年以上が経つが成果が出ていない。良さそうに思われるが、何故実際に動き出さないのか。その辺を考えて見たい。小田原市もいよいよこのことで調査を始めるようだ。市街地調整区域に農地を所有する者に、アンケートを行っている。近所の方で息子さんの家を作るのに、大変苦労されて、結局は作れなかった方がいる。その方の家は、たぶん350年はその場所に暮らしてきた方だ。長く勤めをされてきたが、現在退職されてお茶などの農業をされている。勤めはされていたが、お茶の栽培では県下では著名な方だ。大変立派な農家作りの家に住まわれている。ところがこの家に息子さん家族と同居は難しい。それは全てが、ふすまや障子で仕切られただけの家で、今の時代2世代が暮らすのは難しいと言う事だ。無理に一緒に暮して、出て行ってしまった家も少ないくない。

そこで、家の脇に農地があるので、そこに息子さんの家を建てるべく、申請した。ところが、これが以外にも不許可になった。良く農家の利権として、子供が農地に家を建てることが出来る。と言う事が言われる。二男住宅とか言われるが、実体さえ伴えば、三女であろうと、当然可能だ。ところが実はそう簡単ではない。様々な用件がある。実態と言う事が重視される。農業への影響と言う事もある。この場合、市街化区域にも土地を持っていると言う事が、問題に成った。それは良いにしても、では市街化調整区域の人口の減少は、農業の担い手の減少は、どのように保全するのだろう。息子さんに手伝ってもらいながら、農業を頑張ってゆく。近くに住むほうが良いに決まっている。

農地を住宅地化するために、田園居住制度を利用しようと言うのが、一般に行政が志向する所だ。これでは問題を悪化するだけだ。その為に、実態この制度が進まないのだ。今の小田原の状況で言えば、荻窪の丘陵地帯が、この対象と見られている。海を臨む極めて景観の良い地域だ。この丘陵が以前より宅地開発の希望が出ている。このすばらしい景観の丘の農地を、住宅地化するためだけに、この制度を利用してはならないと言う事だ。先ず、大きな方向付けをする条例の制定が必要だ。志摩市は行っている。地域ごとに明確な小田原の方向を定める事だ。宅地化すれば、利益が出る。こうした農地を財産として考えると、地域は方向なく荒れてしまう。こうしたすばらしい地域を小田原共有の財産と考え。方向を決めたうえで、取り組むべきだろう。

私の暮す久野にもそうした候補地があり、先行投資で農地が買われている。これでは健全な農業は育つわけがない。先ず、市街化調整区域の農地は今後とも農地として保全してゆくことが大前提だろう。その上で、農地の中に、その農地を保全してゆく為の人が住む住宅を配置して行く方法、を考えるべきだろう。都会生活者のための住宅を開発すると言う発想では、良い地域の形成は出来ない。この地域を活性化する人が、、この地域を支えてゆく人が、この地域に暮す為の住宅を作る。あくまで地域を良くするために田園居住を考える。この基本的な発想を大切にしなければならない。そのための歯止めが必要だ。
1、地域設定が住民・行政合意で作られる。2、居住者は農業者であるか、それに順ずる職種であること。3、土地は条件付の賃貸にする。地権者が売買を望む場合は、公社が買い取り、運営を行う。現在は、今思いついたことを書いただけだが、よく検討して、市に対し意見書を出したいと考えている。

 - 最小限の家づくり