中華人民共和国 3

   

農業環境について理解できた範囲で。土壌の違いが大きい。鎮江市は長江の岸辺の町。大きな長江だから、膨大な堆積があり、極めて細かい粘土質の土壌のようだ。乾いた土はレンガを砕いた様なじゃりじゃりのボロボロの状態。水に濡れると。とろとろのサラサラ状態。肥料持ちはいいが、抜けが悪い。下に水の抜けない想像しにくい土壌。腐植質増やせば土は良くなるような感じがした。そうした土の良く成った。感じの畑が先ずない。土壌のせいか、一般に濃い緑色の葉の野菜が多い。窒素過多の様な葉姿が目立つ。この土壌で水がなければ、たちまち砂漠化だろう。鎮江市は小高い山の点在する地域。高くて150メートル程度の石灰質の山が目立つ。その岩肌が目立つ所を、景勝地とするようだ。そして、必ず池をあわせ持つ。日本ならエコツーリズムと言う事だが、中国で農村に憧れが生まれるにはあと10年。都会生活者2世の誕生が必要。

丘陵地帯ではあるが、沢水が湧き出る様子はない。水は今後の鎮江市の農業の最大の関門となるだろう。市街の個人所有の畑は、5メートル程度の幅で区切られている。その長さは50メートル程度と細長い。そして隣との間は水路と言うか細い水溜り。この水をかけて、栽培する。この方式は一般的だそうだ。この停滞水は、殆ど腐敗し、家庭排水も混入して緑化いる。農村の水はそれほどの汚染ではないが、綺麗とはいえない状態。田んぼにポンプで汲み上げて、代かき。極めて困難な水状態。井戸の水位も下がりがちだそうだ。田んぼの耕作は何時まで続けられるか疑問。黄河はすでに下流域は水が消えたそうだ。長江も上流部に重慶の工業地帯は3000万人の人口。そしてそこに三峡ダム。このダム湖は何と、660キロの長さがあるそうだ。中国の水利の要。原発13機分の発電が行える。この水を北の北京まで、日本の長さを超える距離。8メートルの巨大管での水輸送。水の工業優先利用は、日本と同じ。長江に水は何時まで流れるのか。

基本的に日本より従前の農法が残っているようだ。農業技術はそれこそ家庭菜園的にも、一定以上だ。日本の家庭菜園のような、乱雑な感じがない。発酵技術はむしろ日本より進んでいると考えたほうがいい。但し、農業との結びつきは、短時間の私には余り見えなかった。自力更生時代に、様々な発酵に挑戦していると、聞いたが、どんな結果だったんだろうか。家庭菜園に、堆肥が積んであるというような景色はない。野菜は色濃いのは化成肥料のせいか。土壌のせいか。消毒もやるらしく、虫食い葉は見られなかった。堆肥センターの建設など、この国ならすぐできること、多分あるのだろう。畜産飼料も発酵センターを作れば、農家畜産は活性化するはずだ。見学した、牛乳会社は糞が山積みだった。麦が燃やされていて、糞尿が山積み。もったいない気がした。

自給的農業の広がりは、都会のベランダ菜園まで含めて、相当に奥が深い。都市周辺は小さな空き地でも、いたるところが畑になっていた。しかし、農村部に行くと、放棄地らしきところも見られた。しかも、この時期麦刈りの時期ではあるが、畑で働いている人が少ない。たまに見かける人は、麦刈り専門で回っている人らしい。日本でも有名に成った、麦刈りコンバイン集団も見かけた。コンバイン席に子供連れで寝ていた。農村は案外に人手がないのか。農業短大にも行ったが、明るく感じの良い若者が沢山居た。今回一番希望を感じた点だ。海外で出会う中国の若者と全く違う。農家になる人はすくないという事では、日本と同じだ。梅山豚の種雄を運動の為、歩かせている青年達は、自由な空気で、実に良いかんじだった。

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