鳥インフルエンザ緊急的中国の状況報告
中国では、5月26日兵士の鳥インフルエンザ感染が報道された 5月19日湖南省益陽市でアヒルの集団感染もあった。感染の拡大を防ぐ為に、閉鎖、淘汰を続けているようだ。中国に同行した2人の方が、繰り返し感染は野鳥に原因しない。と言われていた。そのように発言する、自然卵養鶏の関係者も居る。そんなことを言って貰っても、科学的事実は事実で、鳥インフルエンザは野鳥による感染がその中心である。人人感染もあれば、飼料感染、ネズミの因る感染。ゴキブリによる感染。感染の原因は一概には言えないが、鳥による感染がない、という事はありえない。ワクチンで対応すると言うのが、中国の方針となったようだ。発生が頻繁である事、国の状況でワクチン以外での対応が難しい場合、緊急的にワクチンで抑える事は、過去行われたことだから、今の中国の状況はそれに当るかもしれない。
何故、鳥からの感染を否定するのか。それは鶏の放し飼いが出来ないからだろう。あるいは、合鴨農法が白い目で見られるからだろう。切実な状況であるが、致し方のないことである。自分たちが蒔いた種だ。この病気の主たる原因は、大規模養鶏場にある。大規模養鶏場の飼育鶏は極めて、ひ弱な鶏だ。薬で管理されているから、めったな事では発病しないが、ワクチン等のない病気が起これば、たちまちに蔓延することになる。これは茨城で起きた弱毒のインフルエンザの事例でもよく分かったことだ。この発端は不法ワクチンではないかといわれているが、その2次感染、および広がり方は、恐ろしい勢いであり、人への感染も多数確認された。そしてその養鶏場は、ウインドレス鶏舎が殆どであった。わずかな病原菌でも、ウインドレスでの感染は早い。ところが、近辺の放し飼いの養鶏には発生がなかった。
この弱毒のウイルスは鶏に大きな害を与えることはない。かつての小羽数の養鶏では、ウイルスが変異するほどの感染の繰り返しは、起きなかった。ところが、30万羽のウインドレスと言う事になれば、そこでは、天文学的感染の連鎖が起こり、ウイルスが強毒に変異する可能性が高まる。怖いのはこれだ。この強毒化したウイルスは自然界にはなかったウイルスだ。その為に自然の野鳥でも、影響は受けるほどだ。自然界がこのウイルスに対応できる為には、まだ時間が必要だと思う。更に新しい感染症を生み出す前に。大規模畜産を止める以外解決の道はない。
今中国で取りうる方法は、ワクチンしかないかもしれない。現在あるワクチンは不完全な物だ。感染の完全予防は出来ない。ワクチン使用後36週は食肉利用できない。だから、日本では禁止している。それでも緊急避難的には致し方ないことだ。今回のワクチン対応は中国の衛生局の試金石になるかもしれない。朝市に於いて、農家が自分で捌いた、生の豚肉を、街の朝市で売っている。豚のほうも病気が出ているらしい。その脇で、生きた鶏が販売されている。魚も隣で捌いている。放し飼いのアヒル、鶏は幾らでもいる。この状況で鳥インフルエンザがどうなるか。実験を見ているようなものだ。2003年の発生以来この状況を続けてきて、25名の感染15名死亡と言うのは、大方の予測より少ない。鶏の感染事例も爆発的という訳でもない。中国のアヒルや鶏は耐性があるのか。たぶん、鳥インフルエンザウイルスの性質が、まだ判明していない部分がある。いずれにしても中国での成り行きを見ていることが、今後の判断には一番のようだ。