中華人民共和国 2
今回中国行きの正式名称は「2007中国江蘇省鎮江市「中日農業先進実用技術普及会」目的は、5つ。社会主義新農村の建設、農業産業構造調整、高収益農業の推進、農業の収益向上および農民の所得向上に対して技術支援を提供する。主催者は「鎮江市人民政府」生産果実、畜産技術、有機農業技術の三つのテーマ。実に分かり易く整理されてはいた。分からなかったのは、私自身の中国に対する、理解不足。と言ってもこれほど変化が激しく、又その規模の大きな国はないのだから、以前の絵画交流団としての訪問の経験は露ほども役には立たなかった。実態を理解しにくいのは、土地所有制度の複雑さと、実態の更に複雑化が背景にある。そして、党および官僚による、社会主義新農村の建設方針を理解していない事。
2日目の早朝、明るくなると共に鎮江市の市街に出た。早いのはなんでもないので、4時。朝食の7時30分まで、街を歩けるだけ歩いて見て、タクシーで戻った。3日目も、4日目も方向を変えて歩いた。歩いていて、違和感はなかった。外国人として、振り返るような空気はない。5時になると、街が動き出す。朝の早い国だ。6時から、ホテルの増築工事が始まる。自転車が多い。自転車にも荷物を山ほど積んでいる。移動式の食べ物屋さんが多い。饅頭屋さん。湯気を出している。驚くほどおいしくやすい(1元以下)と聞いていたので、食べたいが不安で食べられない。あるいは牛乳屋さん。牛を街場で飼う農民が、直接絞り、缶につめ、ビンにつめ、毎朝配達する。1リットル。4元(68円)とか。野菜を積んだ自転車。これについてゆけば、必ず市場につくはず。案の定。線路脇に2キロぐらい並ぶ、朝市を発見。
すさましい喧騒だが、怖い感じはない。匂いがきつい。排水が壊れているので、家庭廃水が道路にあふれている。道路で炊事をしたり、歯磨きをしているのだから、壊れていると言うより、街が排水の溜池状になるのも当然。どぶの匂いがきつい。その排水の悪い片側は線路で5メートルの壁。その前に、一軒2メートルぐらいの店から、5メートルの大きな構えに野菜を並べる人も居る。反対側が、小さな食べ物の店舗や、軒先のような住宅。そこの住人が販売している場合もあるが、大半は線路側と同様に、地面ビニールを敷いて店にしている。豚肉屋さんが沢山出ている。豚の疫病の大発生が言われる中。何の影響もなく、頭から、内臓まで、たぶん昨夜捌かれて温かいまま、肉になって並んでいる。その隣では、生きた鶏が、結わかれたり、小さな金網に詰め込まれたりしながら、売られている。一羽17元(289円)。そして魚屋も生きたまま水槽に入れて、なまずや草魚。うなぎドジョウ。捌きながらの販売。
これで、トリインフルエンザが蔓延しないという事はどう言う事か。否、人感染も続いている。豚の疫病の蔓延に対して、どう対策するのだろうか。小さい農家を禁じるようなことは出来ない、食糧事情。長江の水質汚染は。太湖水域は5月29日、深刻な汚染により、水道水から異臭を放ち、飲用できなくなった。日本の高度成長期にたどった道と同じ事。違うのは極端な富裕層と、貧困とも言える大半の人民。しかしその貧困の程度は、以前とは全く違う。身なりもそれなりによくなり、表情も険しい人が減った。全体が上昇している間に矛盾を吸収できるかどうか。水がおかしくなってきていることは、実に深刻な事態だろう。これは先ず畜産に大きな影響を与えることになる。