冬水田んぼ
2016/08/08
民間稲作研究所の岩渕成紀さんの講演を聞いた。冬水田んぼの事だ。この方法が農業を未来につなげると、分かり易く話された。こういう話を、是非このあしがら地区の、農家の方農協関係の方、に聞いてもらいたいと、お願いしていたがそれは出来なかった。同様に農の会の関係者もひとりも来なかった。何故なのだろう。自分の仕事に対し、こんなに面白い見方を教えてくれるのに、惜しい事だ。
めだか関係の人は、4人も来ていた。この方は、マガンの飛来地伊豆沼での保護活動で、著名だ。ここの活動が、行政も共同する、良い活動になっていると言う話を読んでいたので、一番の興味はその点にあった。たっぷり2時間40分のお話でしたが、全く時間が足りないと言う内容の濃いお話だった。『田んぼをラムサール条約に』これは面白かった。
ネパールの暮らし方の話。日本の江戸時代の農村のような現状と、そのしあわせ観と哲学から話がはじまった。私が不時着地と考えている部分だ。何処を人は目指せば、永続性のある社会が構築できるのか。自然を改変するのでなく折り合いをつけながら、暮してゆく姿。ネパールの田んぼは一人1アール。私の主張するところと一致。大感激。樹木のある田んぼ、岩のある田んぼ。家族が共に働き。共に暮すだけの姿。それをよしとする、人はそんな生きかたを受け入れる事ができるのだろか。
岩渕さんはそれ以外永続性のある社会はないと考えているのだと思う。
冬水田んぼは世界に広がっている農法である事。日本でも340年前の「田村仁左衛門の農業自得」の中に示されているとの事。江戸時代の農法の多様性の指摘。地域地域の特性。冬作のない地域で、水が沢山あるところなら、行われていた農法である事。だから、これは栃木での事例。水があるほうが保温性がよく、氷の下で、藻が繁殖する。これが窒素分となり固定され永続性のある耕作ができた。
世界の文明で、田んぼ以外のところは砂漠化している。しかし、6000年前の田んぼは今も田んぼである。すでに、14000年前の田んぼが見つかっている事。田んぼは自然の中規模な霍乱である。自然の多様性を、維持する事が重要で、その多様性は、安定化してしまうと、かえって単一化の道に入る。そこで、人間が『手入れ』を行う。手入れによって、中規模の霍乱を起こし、むしろ自然環境の維持を行う事になる。
田んぼの雑草への対応。トロトロ層とイトミミズの話。イトミミズがトロトロ層を形成するのは確か。ユスリカも行う。稲葉さんの田んぼにはゆすりかが多く、イトミミズは殆ど居ない。長く、田んぼを続けると、ユスリカが優勢になることはないのか。
春水田んぼの方が普及には可能性がある。1ヶ月早く水を張ることで、トロトロ層形成が早まり、田んぼ初期の抑草効果は大きくなる。田植えを遅らせる事。早く水を入れること。桑原なら可能か。試みる価値はある。水温と田んぼの生き物の関係。水温は、九州でも低いところはある。北海道でも高い所はある。田んぼ一枚一枚での技術の確立の、大きな要素のなる。
ニホンアマガエルのツトムシの捕食など、ツトムシの70%は食べたと言うから、早速、永塚などでは、観察を深める必要がある。