北朝鮮の農業

   

6カ国会議が何の成果も無いまま終わった。日本政府の策のなさは目も当てられない。何のために出かけていっているのだろう。アメリカとの2カ国会議にしないために雁首を据える為にだけ参加しても仕方が無いだろう。やることが無いわけではない。アメリカ、中国、ロシアの核保有国に対し、核実験の停止と核兵器の削減を提案すべきだろう。それが、北朝鮮に対する交渉材料のはずだ。

韓国農村振興庁は22日、北朝鮮の今年の食糧生産量は前年に比べ1.3%減の448万トンと推定されると発表した。 米の生産は干拓地開発などで栽培面積が増えた一方、田植え時の降水量の不足や7月の集中豪雨による浸水が影響し、6.4%減の189万トンにとどまった。と報道されている。この統計が何に基づいているのか、不明だが、正しいとして考えてみる。

北朝鮮の人口は2200万人程度。日本の6分の1。一人当たりの米の生産量は日本と同じ程度。北朝鮮の地勢、気候風土から言って、水田中心の農業ではないはずだ。北朝鮮の農業に関する考察は少ない。私なりに推測してみると、農業分野での経済改革の可能性は高い。中国もそこからスタートして、経済の活性化に成功した。

北朝鮮は、日本の植民地時代から工業資源が豊富で、工業的な地域だった。キンジョンピル体制下も同様の重工業主義で展開している。この方針に間違いがある。経済封鎖された国が行うべき事は、先ず食糧生産であろう。キューバが好例だ。軍事産業を中心に高度技術をいくら開発したところで、経済封鎖が行われる中で、経済開発に結びつける事はできない。例えば、北朝鮮開発の囲碁のゲームソフトがある。これが世界最高水準を続けていた。こうしたIC関係でも、相当開発に力を入れているようだ。

食糧援助が行われているが、これが北朝鮮農業を崩壊させる事が予測される。食糧援助が行われる国は、国内農産物の流通が健全に成長できない。北朝鮮農業は国営農場で働く労働者と、自立農家がある。これを自立農家に全て転換するだけで、生産性が全く変わるはずだ。以前、北朝鮮の国営農場が報道されていた。ダチョウの飼育施設だ。愚かな選択だ。北朝鮮の気候で、ダチョウの飼育が経済性が高いわけが無い。アイデアにすがりつく事になるのは、展望が無いときだ。地道に自分たちの過去を顧みて、効能性のある農産物を探す事だ。

日本ができる北朝鮮対策は、農業技術支援が一番効果的だ。経済的な自立安定を何より優先すべきだ。北海道での稲作が、驚異的に伸びている。本来熱帯の作物であった稲を、冷涼な気候に適合させた技術改良は、目覚しい物がある。日本では一律稲作減反の影響で、健全な発展が阻害されている。その中で、品質でも、生産性でも、北海道の稲作は先進的だ。大規模農業の好例になっている。この技術を北朝鮮に提供したら、互いの利益になるはずだ。

北朝鮮の個人農家では、100㎡の家庭菜園が許されているそうだ。ここでの生産性は高いらしい。脱北者の証言では、3倍から、6倍の生産がされていると言う。当然の事だ、農業は家のそばで、徹底した管理をすることが、一番の方法だ。給料をもらって、時間決めでやるような農業では、到底生産性は上がらない。技術の向上も無いだろう。直接の食糧援助でなく、農業技術の協力こそ、日本の安全保障につながるはずだ。

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