農林水産大臣 松岡 利勝

   

松岡氏は鳥取大学の農学部を出て、農水省に入り、その後衆議院議員。生え抜きの大臣と言える。
我が国農業・農村は、農業従事者の減少や高齢化、グローバル化の中で大きな岐路に立っていますが、私としては、強い農業、世界に冠たる農業の実現を目指して、全力を尽くしてまいります。我が国の農林水産物は、世界の中で味や品質においてダントツに優れた特級品です。そのような強い「武器」を活かして、輸出促進の取組をさらに発展させてまいります。また、バイオマスの利用の取組を推進するとともに、農政改革の実施による担い手主体の経営構造の実現などに重点的に取り組み、農業・農村の持つ潜在能力を最大限に引き出し、農林水産業を戦略産業としていきます。

Q : 地元の農家からの具体的な要望とか、大臣に対する期待なんかあれば教えていただければと思います。
A: 今、ちょうど秋まきで、例の19年度から品目横断がいよいよ始まるんですが、この対象をずっと参加していただくように、現場でいろいろと努力と苦労しているんですが、だいたい良い進み方しているんではないかなという思いはいたしました。いろいろなかなか感情的にもすんなりさっといかない点もあるようですけれども、少しずつ、少しずつ進んでいるし、これなら目標はいけるんではないかなという期待は持ちましたね。だいぶ皆さんにも浸透してきた。これに入るのと入らないのではどう違うかということが良く分かって、なおこれから浸透すると思うので、期待してます。

これが、記者会見の応答である。理解できる人が居るであろうか。
農業の衰退傾向に歯止めがかからない。GDP(国内総生産)に占める農業の割合は、60年の9%から1%に減少した。しかも、これからOECDが計算した農業保護額を引けば、農業のGDPはゼロまたはマイナスになってしまう。農地の改廃が進む中で農業の規模拡大は遅々として進まないし、担い手は育ってこない。農業者は著しく高齢化し、65歳以上の農業者の比率は40年間で1割から6割へ上昇した。食料自給率は40%迄下がった。

そうした現状には全く触れない記者会見だ。「品目横断」というのは補助金の出し方の問題だ。どんな農家に補助金を直接払いするかという話だ。要するに、大きな農家を補助して、小さい農家にやめてもらって、生産効率を上げてゆこうと言う、最悪の政策のことだ。こんな政策が、農家に浸透するわけが無いのに、NHKなど躍起になって規模拡大での成功例を放映している。そうだ。

大半の農家に止めてくださいと言うのが、今の日本の農業政策だ。3年間猶予があるから、その間にやめるか、大きくやるかを選んべ、と言っている。足柄平野に4ヘクタール以上耕作している人はいるだろうか。私の知るところでは居ない。経営としては更に、足柄地域の農業は追い込まれる。では、中山間地はどうかと言えば、放棄が進むだけになる。いくら補助金を違う形で入れたところで、誇りのもてない仕事に、若い人が進むわけが無い。

では期待の企業参入や、集団営農はどうなるだろう。今までのところ成功例を盛んに強調はしているが、日本全体で見れば、更に耕作地が疲弊してゆくことになるだろう。補助等縁が無い。私たちのような、大半の農業者を淘汰して、何が出来ると考えているのだろうか。

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