ダーウィンの悪夢
グローバリゼーションが何故問題なのか、「山形国際ドキュメンタリー映画祭」で昨年受賞したフランス制作のドキュメンタリー「ダーウィンの悪夢」がその実態を表している。日本では公開はされなかったようだが、BS放送で上映された。
何故今頃そのことを思い出したかと言うと、この映画の舞台になっている。タンザニアで、この映画に対する抗議デモがあったという、報道だ。
(ダーウィンの悪夢)に対する
大規模なデモが行われました。
当映画はとっくに封切されており、なぜ今更?
事の発端は、キクウェテ大統領が先月末、
ムワンザ市で行われた月例演説の中で、
当映画について批判したことにあります。
多くのムワンザ市民は、
出来上がった映画そのものはまだ見ておらず、
大統領の発言がきっかけになったものと思われます。
以下はこの映画の紹介文です。
人類の発祥地とされる世界最大の熱帯湖の湖岸は、今日グローバリゼーション最大の悪夢の舞台となっている。
タンザニアでは1960年代、科学実験と称して捕食性の貪欲なナイルパーチがビクトリア湖に導入された。それ以来、ほとんど全ての土着の魚群は死滅した。巨大なナイルパーチの白身肉の全北半球への輸出が成功し、この環境破壊からは実り多い産業が生まれた。
漁師、政治家、ロシア人パイロット、売春婦、実業家、欧州委員がアフリカ諸国の国境を越えた惨劇の登場人物。
実際、上空では旧ソ連の巨大な貨物飛行機が湖上をひっきりなしに飛び交い、南への武器輸出、という全く違った商売への門戸を開放している。
ビクトリア湖で採れるナイルパーチの切り身は日本人も食べている。開発途上国に日本が経済進出して、仕事を作り出し、その国を豊かにしているのだ。こういうことを言う人が居る。大きな経済格差のある前提で、企業は資本の利益のために進出してゆく。途上国の利益等生み出していない、事実を見なければならない。アフリカの情報は少ないが「アフリカ情報通信」を読むとそのことが、よく理解できる。
グローバリゼーションは先進国の、利益の為に作られた考え方だ。例えば世界で、「農産物有機基準を作る」このこと自体は何の問題も無い。ところがこの基準でアフリカで、作られる有機野菜が、アメリカ資本の農場で、イギリスへの輸出向けだ。そこで低賃金での労働力としてのみ、アフリカの労働者が存在する。自らの文化とも、生活とも縁の無い、労働力提供が起こす事。ナイルパーチが、ビクトリア湖に数年で壊滅的な打撃を与えたように、その国の成り立ちを壊滅させることになる。自分の口に入らないものを作り続けることは、人間を破壊する。
どこに行っても、「地場・旬・自給」は当然のことなのだ。私たちの活動は細々ではあるが、アフリカのタンザニアでえらい目に遭っている人達と、連帯している。
タンザニアの人達にはこの映画の表す、地獄のような情景が、やはり許せないで、デモをしているのだと思う。
この悲惨を、世界に訴える為に作られた映画をも、許しがたいのだ。