酒匂川の水難事故

   

酒匂川の一番の遠くの水源は富士山麓にある。自衛隊の富士駐屯地内にある。今も立派な水源として、祭られている。15年位前に、酒匂川グリンフォーラムの企画で見学させてもらった。水源を自衛隊の隊員が、常時警備している様子に驚いた。神社もあり、古い水神信仰の状態が残っていて、その神聖な雰囲気は、緊張させられるほどのものがあり、水を守ることの原点を強く感じた。水量の豊富なことは、すごいもので、毎秒100リットルは越えているだろう。

多分、日本中の水源がこうした神聖な場として、守られていたのだろう。しかし、いつごろからか、この神聖を平気で汚し、空き缶を投げ込むような、恐れを知らない輩が現れた。たまたま、自衛隊が駐屯し守っているので、古い姿がそのまま残されたのだろう。池子弾薬庫跡地と同様な経過だ。たまたま接収でもされない限り、大切なものが守れないと言う情け無い現状がある。

この富士山麓の水源は公開させているものでなく、特別な申請許可だった。実は久野にもいくつかの水源がある。これが管理も公開も出来ないということで、人目に触れないように、地域の人によって保存されてきた。水神様のお祭りが、行われているとも聞くのだが、どういう範囲で行っているのか、新しく来た私のような者には全く解らない。水源の場所は知っているが、こういうところに書くことはできない。

隣の荻窪は水のことでは、古くから苦労があり、箱根からの荻窪用水が出来て、田んぼが出来るように成ったそうだ。この用水は意外なところをトンネル状に通っていて、驚く事がある。水がいかに重要だったかがわかる。荻窪ではこの水で、水車を作り、エネルギーとしても十分利用していた。久野は幸い水が豊富で、それだけで豊かな土地であったはずだ。水車も舟原だけで、5機あったそうだ。縄文からの古い遺跡も多数散在する。
久野の水の豊かさは、暮らしの余裕を生み出していて、多くの人が、江戸初期から、確かにこの地で暮してきて、人の出入りは少なかったと言う。

酒匂川の水難事故で、2人の方が亡くなられた。事故のあったのは、11時前後だ。その日私は、10時30分と12時に富士道橋を渡った。事故の起こったのは山北の高瀬橋下流700メートル、富士道橋はその下流10キロほどのところだ。小雨の中、大勢の鮎つりの人がいた。12時には雨は止んでいた。昨夜のすごかった雨を思って、大丈夫なのかな。と話した。山北町内の鮎沢観測所で、午前9時の段階で18センチだった水位が、午前10時には57センチに上がった。 その45分後、最上流の事故現場に近い平山観測所でも、1時間前より72センチ水位が上がり、1.12メートルになっていた。(朝日新聞) 結局この急激な水位の上昇に釣り客は、気付かなかった。

その場のその時の雨は大したことは無いし。他の地区から来れば、昨夜の雨のことも、知らなかったのだろう。まして、ダムが放流していたのも、放水警報が出てい無いのだから、気付かないだろう。私が何故通る時川を良く観察したかと言えば、どの位水位があがっているかが、農業をしていると気に成るからだ。水没する田んぼもある。

酒匂川では以前も同様の事故があった。大阪で、一時間雨量が、110ミリと言う雨があった。集中豪雨については、今までの経験は捨てたほうがいい。併せて、山が荒れてきて、保水力を失っている。降ればすぐ川に押し出してくる。酒匂川の大きな水源になっている、丹沢山塊が、人の手が入らない、人工林と言う、悪い状況だ。新しい状況になっている。

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