石垣島で有機農業の土壌を作る方法

   


 満杯になった1番溜め池から、湧水の余り水が流れ出ている。一日10㎥の湧水量である。



 2番、3番、4番溜め池。もう少し広げる予定である。今の1.5倍くらいになるはずである。そして、この下に5番溜め池を作る予定。


 
 満水の月の1番溜め池。水の色がなかなか良くなってきた。たたずまいと言えるようなものがでてきた。

 初めの写真は月の溜め池が満杯になり、余り水が流れ出ている様子。この水の量を測定してみると、一日辺りおおよそ10㎥である。この他まだ2番、3番、4番と溜め池がありそこでも水が湧いているようだ。推定であるが一番に近いぐらい湧いているようだ。全体で一日15㎥以上の湧水と考えて良いのかもしれない。

 水量は見た目で水道ぐらいの量である。20リットルの容器に溜め池から溢れてくる水を溜めると、3分だった。10時間で4㎥一日おおよそ10㎥。それが1番溜め池の湧水の量だろう。その他に2,3,4でも湧いているから。もう少し多いと考えて良い。

 今年は雨量が少なくダムの水量も例年よりは少ないそうだ。それでも水は涸れることなく流れ続有り難いことだ。有り難いことだ。5番溜め池まで、すべての溜め池が完成すれば、10枚の田んぼの水は充分まかなえる。

 現在田んぼを作りながら、ともかく水が溜めやすい細かなああああ粘土質の土壌が実にありがたいと思っている。2年やれば、10段の棚田が可能と言うことが、具体的に見えてきた。この点は素晴らしいのだが、ここまで水の縦浸透がない土壌では還元の問題が出てくる。それはシーラ原の田んぼでも経験したことだ。

 コロガシを熱心に行うと言うことが一つの対策に成るだろう。土壌をかき回し、還元化を防ぐと言うことだ。下地さんがコロガシはやればやるほど良いと言われていたが、確かにそういうことがあるかもしれない。今回は転がして土壌をよくすると言うことに心掛けてみたい。

 もう一つ考えれる対策が、光合成細菌の培養である。硫化水素の発生を防ぐことが出来る。これが上手くゆけば、一番溜め池に流し込み、3番田んぼまで流れてゆくようにすれば、水の腐敗傾向を防ぐことが出来るかもしれない。

 焼酎かすを利用した、熊レッドという光合成細菌の種菌販売がある。これを泡盛を使い行えば、田んぼに利用できる可能性がある。これは研究の価値があると思う。いずれにしても、最終目標は田んぼに常に光合成細菌が自然に発生する状態だろう。

  土壌の還元化とは、土壌が酸素不足になり、還元発酵が起こること。土壌が酸素不足で嫌気性発酵になり、腐敗が起こると言うことになる。堆肥を作る際に切り返しをして、酸素を入れてやることで良い好気発酵になる。この逆の現象が起こると言うことだ。どうやってそれを防ぐかである。

 有機農業で行う場合、土壌の作り方が重要になる。基本として行うことは腐植を増やすことだと思っている。特に石垣島では太陽光が強く、腐植の消耗が大きいことになる。腐食を増やせば、土壌環境が良くなり、還元化を防げるのではないか。これが一つの考えである。

 土壌が還元化しないような状態にするための方法を他にも考えなければならない。一つには水の停滞が良くない。水がすこしづつでもいつも動いているようにしたい。本来であれば、流し水管理である。しかし水が少ないからそういうことは十分には出来ないだろう。

 減水深が数ミリ程度である。1年目の田んぼにもかかわらず、ほとんど縦浸透がない土壌だ。驚くほど細かい土壌である。稲作に良いとされる減水深は普通10~30㎜といわれている。濁った水は一週間も濁ったままである。

 経験的には100㎜ぐらいが良いと考えている。土壌への酸素供給が多くなるからだ。減水深が大きいと水温が下がるという問題があるが、小田原ではそうした影響はなかった。石垣島では当然水温問題は全くない。水温は下げたい場合がほとんどである。1月の一番寒い時期でも水温が23度はある。

 縦浸透がほとんど無い土壌なので、少ない水でも田んぼが出来るという点ではありがたい。栽培期間中土壌が還元化する。そのために根が傷み十分な成長が出来ないように見えた。先ずはコロガシを充分にやってみたい。これは下地さんがいわれていたことでもある。

 そして、腐植の増加が最大の課題になる。これは田んぼを耕作していない間に湛水して、水草を増やすようにしたい。アカウキクサが良いと思っているが、まだ石垣島で見つかっていない。ミズオオバコという希少な水草もあると言うことだからこれを使うと言うことも考えられる。そう熱帯睡蓮も植えたい。

 酸化とはある物質が酸素と結びつくか水素を奪われることをさし、還元とは酸化の逆の現象をさす。湛水などによって土壌酸素が少くなると、活動する微生物の種類が好気性菌から嫌気性菌へと変化し、還元物質がたまって還元状態となる。
 土壌中には、酸化および還元によってその形を変える物質がある。還元状態では、アンモニア態窒素は安定的に存在し、硝酸態窒素は窒素ガスに還元され、脱窒して空気中に失われる。鉄は三価から二価の鉄に変わり、土壌pHは中性に近づく。これに伴ってリン酸が溶解しやすくなる。マンガンは易溶性になる。
 わゆる老朽化水田では、還元条件下で鉄やマンガン、ケイ酸などが溶脱している。老朽化土壌が還元状態になると、硫化水素(H2S)が発生し、水稲根の活性が低下し、根腐れによって後半の生育が凋落する、いわゆる秋落ちになる。ーーールーラル図書館より。

 - 楽観農園